朝は戦場そのもの
私は2歳と3歳の年子の男の子を育てながら、正社員として働いています。夫は出勤時間が早く、朝の保育園準備と送迎はほとんど私の担当でした。朝は子どもたちにご飯を食べさせながら水筒を用意し、暴れる兄弟を着替えさせ、自分の支度も同時進行です。
しかも子どもたちはイヤイヤ期真っ只中。「靴下イヤ!」「こっちがよかった!」という声が朝から飛び交い、私は毎日のように「ママ遅刻しちゃうよ〜!」と叫んでいました。自分の髪を整える余裕もないまま、子どもたちを抱えて家を飛び出す毎朝だったのです。
夫の軽すぎる一言
ある日の夜、私は夫に「朝、子どもたちを保育園に連れて行くまでが本当に大変なの」と愚痴をこぼしました。ところが夫は、私の話を聞きながら「え、ただ保育園に送るだけじゃん」と笑ったのです。
夫はいつも子どもたちが寝ている時間に家を出るため、朝の様子を見ることがありません。私は「一回やってみれば分かるよ」と言い返したかったのに、うまく言葉が出ませんでした。笑いながらテレビを見る夫の横で、黙ったまま食器を洗い続けていました。
初ワンオペで大混乱
ところが数日後、私がインフルエンザで高熱を出してしまいました。起き上がるのもつらく、夫が初めて子どもたちの保育園準備と送迎をすることになったのです。私は布団の中から最低限の流れだけ説明しましたが、細かく伝える余裕まではありませんでした。
すると朝から、リビングは大混乱。「着替えどこ!?」「オムツ何枚入れるの!?」と夫の声が響き、兄弟は泣きながら逃げ回っていました。夫が家を出たのは、いつもの時間を30分以上過ぎてからでした。
さらに保育園では登園用タッチパネルの操作も分からず、子どもたちのクラスや荷物置き場もあやふやで、先生に助けてもらいながら送り届けたそうです。
ようやく伝わった苦労
その日の夜、夫は子どもたちを迎えに行って帰宅すると、スーツのままソファに倒れ込むように座りました。髪は乱れ、ネクタイもゆるんだままです。そしてしばらく天井を見つめたあと「この前は笑い飛ばしてごめん。本当に大変だったんだね」と頭を下げました。
朝ご飯を食べさせるだけでも思うように進まず、保育園へ連れて行く頃には、夫はすっかり疲れ切っていたそう。夫はそこで初めて“ただ送るだけ”の裏に、着替えや荷物準備、時間配分まで細かな段取りが山ほどあることを知ったのでした。
それ以来、朝食の準備や子どもたちの着替えを、積極的に担当してくれるようになりました。インフルエンザは大変でしたが、あの日があったからこそ、夫婦で朝を支え合えるようになった気がしています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

