共通の趣味で結ばれる夫婦もいれば、正反対の趣味を持ち、互いの趣味時間を尊重しあう夫婦もいます。相手の趣味には寄り添いたいものですが、なかなかそうもいかないことも……今回は、私のお客様の実体験をご紹介します。
夫の趣味
私の夫はスポーツ観戦が大好きで、毎週末になると一人でスタジアムへ足を運びます。私は「たまには息子も連れて行ってほしい」と頼むのですが、夫は「野外は暑くて可哀想だ」と言って首を縦に振りませんでした。
家族で同じ趣味を楽しむ姿を思い描いていた私は、少し寂しさを覚えていたのです。
初めての親子観戦
そんなある日、私が出張で家を空けることになり、夫が一人で息子の面倒を見ることになりました。ちょうどその日に夫の応援するチームの試合があり、夫は初めて息子を連れて観戦へ。私は「これを機に二人で観戦するのが習慣になればいいな」と期待していました。
ところが出張先で知らない番号から着信があり、商談相手かと思って出ると「〇〇スタジアムの運営事務所です」と告げられたのです。
スタジアムでの騒動
電話の内容は衝撃的でした。「息子さんが迷子になってしまい、迷子放送をかけましたがご同行のお父様が見当たらず、息子さんのゲーム機に記載されていたお母様の番号に連絡しました」とのこと。
受話器越しに息子へ「大丈夫? パパは?」と声をかけても嗚咽で答えられません。慌てて夫に電話しましたが、観戦に夢中で出ず。
そうこうしているうちに試合はハーフタイムに突入。指定した場所に息子がいないことに気づいた夫が慌てて迷子センターへ駆けつけ、無事再会することができました。
事情を聞くと、夫は「観覧席は暑いから冷房の効いた室内のトイレでゲームしてて」と息子に告げていたそうです。長時間一人でトイレにいる息子を心配した清掃スタッフが声をかけると泣き出し、そのまま迷子扱いになったのでした。
出禁警告、そして
私はもちろん激怒しましたが、それ以上に運営側が厳しく対応したのです。「応援してくださるのはありがたいですが、お子さんを放置して観戦するのは言語道断です。事故や事件に巻き込まれる可能性もあります。場合によっては出禁も検討しています」と告げられ、夫は深く反省しました。
それ以来、試合観戦は自宅ですることが増え、今では涼しい部屋で家族そろって観戦を楽しんでいます。
迷子騒動は大きな衝撃でしたが、スポーツ観戦という「夫一人の趣味」が「家族の時間」へと姿を変えるきっかけになりました。新しい習慣や楽しみは、思いがけない出来事から生まれることもあるのかもしれません。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

