法事で繰り返される「当たり前」
私は法事の度に言われる言葉があります。それは、「長男の嫁なんだから動いて当然」という一言。義実家では、料理の準備や片付け、親戚対応などは女性陣の役目。
一方で男性陣は座ってお酒を飲みながら談笑するのが当たり前になっていました。最初は「どこの家もこんなものなのかな」と受け入れていましたが、回を重ねるうちに違和感が少しずつ積み重なっていきました。
「じゃあ夫も」で始まった現場改革
そんなある日の法事でも、義母からいつものように「長男の嫁なんだからお願いね」と声をかけられると、私はふとこう尋ねました。「長男って、家を支える立場ですよね?」「そうね」と答える義母に、私は笑顔で続けました。
「じゃあ、長男である夫にも手伝ってもらいますね」そう言って夫に配膳を頼むと、様子を見ていた若い親戚たちも次々と立ち上がり、自然と手伝い始めたのです。
「今のほうがラク」で全員納得した瞬間
その光景を見た義母は、少し驚いたように「……昔は、こうじゃなかったのにね」とぽつりとこぼしました。
空気がわずかに重くなる中、親戚の大学生じゅんくん(仮名)が笑いながら口を開きました。「今のほうが全員ラクでいいじゃん!」その一言で、張りつめていた空気がふっと和らぎました。
小さな一言が生んだ大きな変化
「昔からそうだった」という理由だけで続いていた慣習も、ほんの小さな一言や行動で変わることがあります。それ以来、「長男の嫁だけが動く」という空気が、少しずつ変わっていったのでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

