義実家での夕食
私は結婚してから、ときどき義実家で夕食をごちそうになることがあります。ある夜、メインはロールキャベツで、ほかにも洋風のおかずがいくつも並んでいました。食卓はちょっとしたレストランのよう。私は(おしゃれだなぁ……)と、料理上手な義母にひそかに感心していました。
そんな中、皿に並んでいた四角い『白いもの』が目に入りました。どう見てもクリームチーズです。実は私は、昔からチーズが大の苦手。外食でも避けることが多く、どうしようかなと思ったものの、(まぁ、食べなければいいよね……)と、わざわざ申告せずにそれとなく避けることにしました。
義母に声をかけられて
そのまま食事を進めていると、義母がふとその皿を指さして「彩花ちゃん、これ食べる?」と聞いてきました。私は一瞬迷ったあと、申し訳なく思いながらも「あ……実はチーズが苦手で。すみません……」と正直に答えます。
すると義母はキョトンとしたあと、思わず吹き出したように笑いました。「あぁ、そっか! たしかにこれ、どう見てもチーズよね!」
『白いもの』まさかの正体
どういうことだろうと思っていると、義母は楽しそうに説明してくれました。「これね、冷奴なの!」「ハチミツとブラックペッパーかけてるんだけど、意外と美味しいのよ〜」そのまさかの正体に、私はびっくりしてしまいました。
気になって試しにひと口食べてみると、豆腐のなめらかな舌触りに、はちみつの甘さ。さらにブラックペッパーの風味が加わって、デザートのような不思議な味わいです。しかも、その日並んでいた洋風のおかずやワインにもよく合っていました。
思わず「え、美味しい……!」と言うと、義母は「でしょ〜?」と少し得意げに笑っていました。
わが家の定番メニューに
そのあと、私は義母から作り方を詳しく教えてもらい、今ではわが家でも定番メニューになっています。最初はチーズだと思い込んで避けていたものが、まさかお気に入りになるとは思いませんでした。あのとき正直に「苦手なんです」と言ってみてよかったな、と今では思っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

