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これは、幼稚園で働いていた頃に保護者の冨永さん(仮名)から聞いたお話です。母親になって4度目の母の日。「明日は母の日なのになぁ」と夫に声をかけると「俺の母親じゃないじゃん?」と笑い飛ばされてしまいました。しかし今年は、その後に思いがけない出来事が待っていたのです。

母の日はずっと贈る側でした

私は、毎年母の日になると、実母と義母の両方にプレゼントを贈っていました。夫の拓哉(仮名)はというと、そういったやりとりにはあまり関心がなく、自分の母親に対しても特別何かをするタイプではありませんでした。

それでも「そういう人なんだ」と思い、特に気にしないようにしていたのです。ですが、子どもが生まれ「母親」になってからも、その関係は何ひとつ変わりませんでした。

期待しても、返ってこない言葉

母親になってから毎年「今年こそは」と、どこかで期待している自分がいました。特別なことはいらない、たった一言「いつもありがとう」と言ってもらえたら、それだけで十分なのです。

しかし「明日は母の日なのになぁ」と、冗談混じりに声をかけると「俺の母親じゃないじゃん?」と笑い飛ばされてしまいました。その軽い一言を聞いた瞬間、この人に期待しても無駄なんだと、どこかで線を引いてしまいました。

息子のひと言が、空気を変えた

母の日当日、息子の晴哉(仮名・4歳)が帰宅するなり、幼稚園で作ったプレゼントを差し出してくれました。そのおかげで、少しだけ心が救われた気がしました。

その後、義母と実母への花を受け取りに花屋へ向かったのですが、会計の際に並んだ花を見た晴哉が「今日は母の日なのに、なんで“ばあば”のお花しかないの?」と不思議そうに尋ねてきたのです。

「ばあばたちはね、ママとパパの“ママ”なんだよ」と答えると「じゃあ、僕もママにお花あげたい」と言うのです。その言葉に、思わず胸が詰まりました。

小さな花束に込められた想い

そのやりとりを聞いていた店員さんが「よかったらどうぞ」と小さなブーケを差し出してくれました。母の日のイベント用に用意されていたお花だったそうで、晴哉はそれを大事そうに受け取ります。

そして「ママ、いつもありがとう」と、まっすぐな目で花を手渡してくれました。その瞬間、こらえていたものがあふれ、気づけば涙が止まりませんでした。夫からはもらえなかった言葉も気持ちも、すべてがその小さな手から届いた気がします。

息子の優しさに救われた母の日でした。どうかこのまま、優しい心を持ったまま大きくなってほしいです……。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2020年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

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