“肩書きフィルター”で見ていた上司
営業部署で働いていた頃、上司の木下さん(仮名・40代男性)は若くしてリーダーに昇進した実力者でした。しかしその一方で、「事務担当」や「パートの女性」といった肩書きで人を判断し、どこか見下すような態度が目立つ人物でもありました。
事務業務へはまるで興味がなさそうで理解は浅く、“誰がやっても同じ仕事”という認識が前提にあったように感じます。
軽視された仕事と歪んだ負担
当時、社員の業務の一部をパートさん達へ移行する流れがありましたが、次第にその負担は偏り、明らかにパートさんたちにしわ寄せがいく状態に。
懸念を伝えた際、木下さんは「どうせパートなんだし、仕事回すだけ回して嫌ならやめてもらえばよくない? また別の人雇えばいいし」と一蹴。その言葉に違和感を覚えつつも、立場的に強く反論することはできませんでした。
現場崩壊で見えた“本当の業務量”
その後、実際にパートさんが2人退職し、さらに1人も退職を検討しているという事実が発覚。人手不足により、それまでパートさんに任せていた業務はそのまま社員側へ戻ってきました。
木下さん自身も対応に入ることになりましたが、電話対応、入力作業、イレギュラー処理が重なり、現場は混乱。想像以上の業務量に追いつかず、ミスや対応漏れが発生し、取引先からのクレームにもつながってしまいます。
“誰でもできる”の正体
そのとき初めて、「誰かが支えていた仕事だった」という事実が浮き彫りになりました。木下さんも反省したようで、「誰でもできると思っていたけど、全然そんなことなかった」とぽつり。それ以降、パートさんへの接し方や業務分担は見直されるようになりました。
肩書きで人を判断し、その価値を軽く見ることが、どれだけ簡単に現場を壊すのか。遅すぎる気づきではありましたが、確実に空気が変わった出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

