増え続ける“季節の贈り物”
義母はぬいぐるみ作りが趣味で、季節のイベントがあるたびに作品を作っていました。誕生日や節分、バレンタイン、ひな祭り、ホワイトデーなど、イベントのたびに「また作ったから飾ってね」と作品を我が家に持ってくるように。
最初はありがたく受け取っていたものの、数がどんどん増えていき、収納にも飾る場所にも困るようになっていきました。
広がる違和感
さらに困ったのは、義母がただ渡すだけではなかったこと。「あのカウンターにはこれを飾ったほうがいい」「こっちにはこれを絶対置いて」と、家のインテリアにまで口を出し、配置を変えていきます。
自分たちとしては子どもが描いた絵や家族旅行の写真なども飾りたいと思っていました。物理的にも余裕がなくなり、やんわり断ってみたことも何度かありましたが、状況は変わりませんでした。
止まらない善意
義母は「せっかく作ったんだから」「若い人ってこういう季節感を大事にしないわよね~」と、変わらず作品を持ってき続けました。善意であることが分かるだけに、強く断りを入れることもできず困り果てていたのです。
次第に気持ちの中ではありがたさよりも負担のほうが大きくなり、どう伝えればいいのか悩む日々でした。
気づきのきっかけ
しかしある時期から、不思議と義母がぴたりと作品を持ってこなくなりました。
理由を聞くと、同じくぬいぐるみ作りが趣味の友人が、息子夫婦の家に作品を持っていった際、「自分たちの家に飾りたいものがあるから、そんなに必要ない」とはっきり言われたそうです。その話を聞いた義母は「もしかして自分も迷惑だったかしら……」と初めて気づいたのだとか。
善意であっても距離感を見誤ると負担になってしまうもの。相手の空間や気持ちを尊重し、“押し付けないこと”の大切さを感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2020年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

