薬剤師免許が掲示されている薬局
私が働いていた調剤薬局では、勤務している薬剤師の薬剤師免許が壁に貼られていました。薬剤師免許には氏名や生年月日のほか、本籍地や免許取得日などが記載されています。免許を掲示する義務はありませんが、昔からの名残で掲示する薬局は多いようです。
不審な動きをする患者
ある日、薬局へ定期的に来る60代女性の患者さんが、いつものように処方箋を受付に出した後、何かを探すようにキョロキョロとし始めました。
そして壁をじっと見つめた後、カバンから取り出したスマホをそちらに向け、「パシャ」。カメラのシャッター音が薬局内に響き渡ったのです。
撮影したものとは
すぐに薬局長が駆け寄り、声を掛けます。「患者のプライバシー保護のため、薬局内での写真撮影はご遠慮いただいております。何か気になる掲示物がございましたか?」
「あら、ごめんなさい。薬剤師免許を写真に撮って、息子に見せようと思ったの。薬剤師のF子さん、いつも説明が丁寧で雰囲気が良いし、何より美人でしょ? 息子のお見合い相手として紹介したくてね」
機転を利かせた対応
薬局スタッフ全員が驚く中、私はこう伝えました。「お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。ただ残念ながら、私は結婚しております」
さらに、こう続けました。「ご期待に沿えず申し訳ありません。健康やお薬に関する相談でしたら、お気軽に申し付けくださいね」
医療従事者も一人の人間
今回はとっさの対応により穏便に済みましたが、とらえ方次第ではカスタマーハラスメントとなる事例でした。実際に女性薬剤師は結婚相手として人気のようです。
今回の件があったため、私の薬局は薬剤師免許の掲示を止めたのでした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Eri.I
薬剤師歴12年。就業を通じて多くの人生や、悩み、奇跡などに直面し、それらを伝えるべく執筆活動を開始。職場や同世代の女性との会話をもとに、医療現場の裏側から家族の「あるある」まで、多岐にわたるテーマで執筆を手がける。子育てサイトのアンバサダーを務め、身近な視点を活かしたコラムを執筆中。

