挨拶をしてくれる黒猫「クロ」
数年前から、私の家の近所に黒い野良猫が住みつくようになりました。尻尾が短くて、ふわふわの毛並み。野良猫なのに人懐っこくて、見かけると必ず「ニャー」と近づいてきてくれました。
朝、会社に向かうときは「今日もこれから仕事だよ。行きたくないけど、頑張ってくるね〜」と声をかけ、夕方は「ただいまー、今日も疲れたよ」と愚痴をこぼす。
いつも「ニャー」と鳴いて、私の話を聞いてくれているようでした。私はその子を「クロ」と呼ぶことにしたのです。
会えなくなった日
クロは、撫でると小さな頭を私の手にコツンと預けてくる子でした。そんな仕草がかわいくて、私は「今日もクロに会えるかな」と思いながら外に出るようになっていました。
けれど、ある日を境にクロの姿をまったく見なくなったのです。そして近所のおじさんから「あの黒猫、実は交通事故で亡くなったんだよ」と聞かされました――。
それ以来、「どうして家族として迎え入れなかったんだろう」後悔ばかりが頭に浮かびました。
夢に出てきた「クロ」
「こんなとき、クロが話を聞いてくれたらなぁ」と思いながら眠る夜も……。そんなある日、不思議な夢を見ました。クロが出てきて、何かを伝えようとしている夢。まるで「大丈夫?」と気遣ってくれているような夢でした。
クロからのプレゼント?
その夢を見てから数日後。外から「ニャー」という声が聞こえ、振り返ると一匹の黒い猫がいました。思わず「クロ? 生きてたの!?」と近づくと、その子はクロと同じように短い尻尾を持つ子猫でした。
撫でると、小さな頭をコツンと手に預けてきます。その瞬間、「クロからのプレゼントかもしれない」と感じ、家族として迎えることを決心しました。
今では家を出るときに「今日も仕事頑張ってくるね」と話しかけ、帰宅すると「ただいまー、疲れたよ〜」と声をかけています。「新しい仲間だよ」と、クロが自分に似ている猫に巡り合わせてくれたように感じています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。

