はたらく妊婦
私はサービス業で正社員として働いています。出勤日数は週6日。業務も多く人員不足で休みにくい環境でした。
妊娠が分かってからも、幸い大きな体調トラブルはなく、そのまま仕事を続けていました。
毎日、どこかしらに起こる不調
しかし、妊娠による身体の変化や、体調の不安定さは悩みの種。お腹の張りが強い日は、産婦人科でもらった張り止めの薬を飲みながら、なんとか日々の仕事を回していました。
今思い返すと「欠勤するほどではない不調」を抱えながら、産休まで働いていたような気がします。
時代錯誤な発言
ある日、店舗にK部長(50代男性)がやって来ました。その頃の私は、大きなお腹でちょっと動くのも一苦労。ふうふう息を切らしながら仕事をする私を見て、部長はこんな言葉をかけてきたのです。「大変そうだね。まあでも……妊娠は病気じゃないもんね。産休まであと少し、頑張ってね!」
悪気はなかったのかもしれません。しかし「まだこんな言葉を使う人がいるんだ……」と、内心ではモヤモヤがふくらんでいきました。
大先輩たちの援護射撃
すると、近くにいた年配のパートさん数人が、すぐに声を上げてくれました。「えっ、部長? 今なんて言いました? 令和にその発言はアウトですよ~!」「病気じゃなくても、別の命をお腹で育ててんだから身体にとっては一大事よ~!」
長年勤めあげてくれている彼女たちには、部長といえど頭が上がりません。ハッとした表情で「ごめんね! 今のなし!」と慌てる部長。「ハラスメント研修、受け直しですね!」と茶目っ気たっぷりに追い打ちをかけるパートさんたち。その陽気な指摘には、思わずこちらもフフッと笑ってしまいました。
言葉の鋭さ
悪意がなくても、言葉はときに人を傷つけることがあります。「妊娠は病気じゃない」という言葉も、そのひとつかもしれません。陽気に場を取りなしてくれた大先輩のパートさんたちのおかげで、私はモヤモヤを抱え込まずに済みました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2020年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

