大人になると“人に怒られる”機会は少なくなっていく方が多いかと思います。しかしゼロではないのも事実。また、普段温厚な人や優しくて穏やかな人ほど、本気で怒ると怖いもの。今回は、私のお客様の、普段温厚な勤務先の店長がブチギレたエピソードです。その理由とは……。
久々の仕事
私の義父はコンビニのフランチャイズ店を経営しており、常に人手不足に悩んでいました。ちょうど娘が幼稚園に通い始め、日中に時間ができた私。義父の頼みを受けて久しぶりに外で働くことになったのです。
優しいサポート
ところが、ブランクのせいか毎日が失敗の連続。弁当を温めすぎて爆発させたり、おつりを間違えたり。寝坊して遅刻したこともありました。
それでも義父は「ミスをカバーするのが店長の仕事だからね。家事や育児で大変なのにシフトに入ってくれてありがとう」といつも優しい言葉をかけてくれました。その温かさに救われ、私は少しずつ仕事に慣れていったのです。
鼻歌への怒号
しかし、ある日の午後、義父と二人きりのシフトで思いがけない出来事が起こります。暇な時間帯に眠気と格闘していた私は「何かすることありますか?」と尋ねました。義父は「ドア前の掃除をお願い」と言い、私は日差しを浴びながら鼻歌を口ずさみつつ掃除を開始。
すると突然、「ゴラアア! 何歌ってんだ!!」と義父が怒鳴ったのです。さらに続けて「それは〇〇(別のコンビニ名)の入店メロディだろうが!!」と。あまりの怒号に驚いた私は半泣きで震えながら謝罪。なんと義父が怒った理由は、私が口ずさんでいたメロディがライバルコンビニの入店音だったからでした。
怒りの琴線
謝ると義父はすぐにいつもの穏やかな態度に戻り、「ライバルだからさ、一応注意しておこうと思って」と笑顔を見せました。お釣りの渡し間違いや寝坊には一切怒らなかった義父が、ライバル店のメロディには激しく反応したのです。
話を聞くと、ライバル店がオープンしてからというもの、義父の店の売上はずっと下がり続けているのだと教えてくれました。仕事の失敗よりも、競合への意識が義父にとっては大切なポイントだったのでしょう。
「人の琴線はどこにあるかわからない」としみじみ思いました。自分にとっては些細な事でも、別の誰かにとってはとても重要なことかもしれない。改めて言葉遣いや発言には気を付けようと、身を引き締めた出来事でした。
【体験者:30代・パート勤務、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

