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毎年当たり前のように続けてきた、社内のバレンタイン。女性社員が少ない職場だからこそ、なんとなくやめられずにいた慣習でした。そんな中、バレンタイン前日に突然届いた「社長からの全体メール」。気遣いの言葉の裏で、女性社員たちが感じたのは、戸惑いと、そして小さな本音でした。

当たり前になっていた、社内バレンタイン

私の会社は社員数が約60人で、女性社員はわずか3人しかいません。毎年バレンタインの時期になると、その3人で社内用のお菓子を用意するのが恒例になっていました。

市販のお菓子をまとめて購入し、小さな袋に分けて、男性社員全員に配る。正直、手間もお金もそれなりにかかりますが、「毎年のことだから」と特に疑問を持たず続けてきました。今年も例年通り、すでにお菓子は購入済み。あとは当日配るだけ、という状態でした。

前日に届いた、社長からの社内メール

そんな中、バレンタイン前日の夕方、突然社内メールが届きました。差出人は社長で、宛先は全社員。メールには、こんな内容が書かれていました。

「女性社員のみなさま、いつもお世話になっております。明日はバレンタインですが、みなさまの準備も大変でしょうから、今年からは何も無しで結構です。いつも本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」

一見すると、女性社員を気遣った、とても丁寧な文章です。しかも全社員に共有されているため、「今年はチョコがない」ということも、全員が把握している状況でした。ただ、すでに準備を終えていた私たちにとっては、戸惑いのほうが大きかったのが正直なところでした。

「配りたくて配っていた」わけじゃなかった

「一生懸命準備した私たちの時間は……?」そんな気持ちが、どうしても頭をよぎりました。そもそも、毎年「配りたくて配っていた」わけではありません。やめるきっかけがなかっただけで、慣習のように続いていただけでした。

社長のメールを受けて、今年は配るのをやめることにしました。結果、用意していたお菓子は行き場を失い、女性社員3人で分けることに。社内では、「今年はチョコないんだ」「急にどうしたんだろう?」という声もちらほら聞こえてきて、事情を知らない人に説明するのが、少し気まずく感じる場面もありました。

女性同士で笑って終わらせた、今年のバレンタイン

結局、その日の午後、女性社員3人で休憩スペースに集まり、「せっかくだし、食べちゃおうか」と言って、用意していたお菓子を広げました。

「これ、意外とおいしいね」「来年からは準備しなくていいと思うと、ちょっと楽かも」そんなふうに、その場でチョコをつまみながらおしゃべりしているうちに、張りつめていた気持ちが少しずつほぐれていきました。「今までのバレンタイン、もしかして迷惑だったのかもね」そんな本音も出ましたが、最後は笑い話に。

前日連絡という形には、やっぱり割り切れない部分もあります。でも、女性同士で気持ちを共有できたことで、「まあ、こういう年もあるよね」と思える結末になりました。今年のバレンタインは、少し不思議で、でもちょっと肩の力が抜けた一日でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

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