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調剤薬局で働く薬剤師・横田さん(仮名・50代女性)の体験談を紹介します。臨時休業であることを忘れていた患者・信川さん(仮名・60代男性)が、翌日に怒りの表情で再来しました。しかし、ある事実を前に、怒るに怒れなくなってしまい……?

休み明けの薬局に、不穏な留守電

事件は、以前から予定されていた臨時休業日の翌朝に起こりました。朝一番に私が出勤すると、電話の着信履歴と録音がなんと20件。それはすべて信川さんという患者さんから。

内容は「受診と薬をもらいに来たのに、クリニックも薬局も開いていない。とにかく今すぐ薬を出せ」というものでした。

周知徹底したはずなのに

しかし、臨時休業については、クリニックと協力して2か月前から張り紙をしていました。来局が重なりそうな患者さんには、直接声かけもしています。信川さんもその1人でしたが、どうやら忘れていたようです。

ほどなくして、信川さんは開局前の薬局に乗り込んできました。

とにかく怒りがおさまらない

「臨時休業ならちゃんと伝えとけよ! 二度手間だろうが!」処方せんを机に叩きつけるように出し、怒りをあらわにします。

とにかく早くお薬を渡そうと、スタッフみんなで慌てて準備を始めました。すると準備の途中で、信川さんのお預かり品の中に“あるもの”を発見したのです。

怒りの矛先はどこへやら

お薬の用意が終わってカウンターに呼んだ時も、信川さんの表情は怒りで満ちていました。私はすかさず「まずはこちらをご確認ください」とお薬手帳を差し出します。

手帳の中身を確認した信川さんは、声を出せずにいました。先ほどまでの態度が嘘のように縮こまり、そそくさと帰っていったのです。

動かぬ証拠

実は、お薬手帳の最新ページにはこんなことが書かれていました。【〇月〇日は臨時休業。早めに受診する】新患時の直筆アンケートと見比べてみても、それは信川さん本人の筆跡でした。

伝えていなかったのではなく、覚えていなかっただけ。自分を助けるために残したメモが、自分の落ち度を暴く証拠になるなんて。なんとも皮肉な話だなあと感じた出来事でした。

【体験者:50代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

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