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私が勤める旅行会社の営業所で女性社員を悩ませていたのは、バレンタインにチョコレートを強要する部長の存在でした。時代錯誤なパワハラも半ば諦めていた時、部長には制裁が……。今回は、何かと面倒の多い職場のバレンタインにまつわるエピソードをご紹介します。

「当然くれるよな?」部長からの圧

私の勤める営業所には、バレンタインが近づくと女性社員ひとりひとりに声をかけ、「当然、くれるよな?」と直接圧をかけてくるパワハラ部長がいました。

過去に一度、営業所の女性社員で相談し、「女性全員から男性全員へまとめて贈る」というやり方に簡素化したことがありました。しかし、その後の部長の不機嫌さは凄まじく、仕事が滞るほどの露骨な嫌がらせが続いたのです。

翌年には「全員にとか、ありえないからな」とわざわざ釘を刺される始末。私たちは「チョコレートで仕事がスムーズに回るなら安いもの」と半ば諦め、部長には個別にチョコを贈っていたのでした。まさに「貢物」のように……。

パワハラ上司の退場と現れた「超合理主義者」

しかし、そんな横暴が長く続くはずもありません。部長はバレンタインだけでなく、日頃のパワハラ疑惑が問題となり、地方の営業所に左遷されてしまいました。

後任の部長は、前任者とは正反対の「超合理主義者」。バレンタインの前に、女性たちがそれとなく伺いを立てると、新部長の回答は驚くほど明快なものでした。「バレンタインは禁止。もらったら男性社員はお返しが大変だし、業務の効率を下げるだけだから職場には必要なし!」

上司で変わる環境と拭いきれない不安

一部の男性社員からは残念がる声も上がりましたが、私たち女性社員は「バレンタイン禁止令」を大歓迎で受け入れました。

上司一人が変わるだけで、これほどまでに環境が激変するものなのか。そう痛感すると同時に、ある不安も覚えました。もしまた数年後に部長が交代し、前任者のようなタイプが着任したら、またチョコの強要が復活してしまうかもしれない。そんな焦燥感に駆られたのです。

小さな一歩が守る自分たちの働きやすさ

ちょうどその頃、全社員に向けた職場環境アンケートが実施されました。私は、全社でバレンタイン禁止を求める提案をしました。

本来、バレンタインは好意や感謝を伝える自由な行為のはず。それが義務や負担になってしまっては、まさに本末転倒です。上司の意向ひとつで環境が激変するのを目の当たりにしたからこそ、組織としての確固たるルール化を願わずにはいられませんでした。

未だに全社統一の禁止ルールが明文化されたわけではありませんが、儀礼的な贈り合いは徐々に少なくなっていると聞いています。「働きやすさ」を自分たちの手で守るため、ただ上司の考えに従うだけでなく、小さな声でもこつこつと挙げていかなければならない、そう感じたのでした。

【体験者:60代・女性会社員、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

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