私なりの身だしなみ
私は、幼稚園に通う娘・あい(仮名)を育てる専業主婦です。もともとメイクやファッションが好きで、毎日の送迎の時間もできるだけ身だしなみを整えるようにしています。誰かのためというより、自分の気分が少し上がるから、という理由が大きいかもしれません。
同じ幼稚園に、パートで働いている七海さん(仮名)がいて、お迎えの時間にはよく顔を合わせます。挨拶をして、少し立ち話をするくらいの関係でした。
冗談? 引っかかる言葉
七海さんは会うたびに、「恵さんっていつもメイクばっちりですごいね〜! 時間あるんだね!」「専業主婦なのに、誰に見せるの?(笑)」と、冗談めかした口調で声をかけてきました。
笑いながら言われるので、その場では「自分がそうしたいからしているだけだよ〜」と流していました。でも、毎回同じような言い方をされると、どこかチクっと引っかかるものが残ります。送迎が終わったあと、少しだけ居心地の悪さを感じることもありました。
参観での思いがけない一言
ある日、幼稚園で参観があったときのことです。教室で楽しそうにしている子どもたちの様子を見ていると、七海さんの娘が私のそばに来ました。そして、にこにこと私を見上げて「あいちゃんのママ、いつもきれいだね!」と、無邪気に声をかけてくれたのです。
その場にいた七海さんは、言葉に詰まったようで苦笑いを浮かべていました。
自分のためにしていること
子どもの素直な、そして嬉しくなる一言を聞いて、私の中にあったモヤモヤが少し和らぎました。誰にどう見られるかよりも、自分が気持ちよく過ごすためにしていることなのだと、改めて思えた気がします。
それ以降、七海さんから以前のようにチクっとした言い方をされることはなくなりました。送迎の時間も、挨拶を交わしたり世間話をするいつも通りの日常に戻っています。
これからも、自分が好きだと思うことを楽しむ気持ちは大切にしていきたい。あの参観日の出来事は、そんなことを静かに思い出させてくれました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

