コピーは部下の仕事
私の上司である係長は、何かと細かい指示が多い人です。とりわけコピーに関しては厳しいチェックが入っていました。「この書類、コピーが数ミリ曲がっているね。気持ち悪いからやり直してきて」「急ぎで5部ほど縮小コピーしてきて」
(少量のコピーなら自分でやればいいのに……)正直な話、総務課のスタッフはみんなそう思っていました。しかし、係長の機嫌を損ねるのも面倒で、誰も本人には言い出せず。指示があるたびに部下の誰かがコピー機へと走っていきました。
新人の一言
そんなコピー態勢は、新卒で入社してきた北川さん(仮名・20代女性)によって打ち破られます。北川さんは、コピー機の扱いに慣れていない初心者。そんな彼女に係長は、社会人の洗礼のごとく細かなダメ出しとやり直し指示を出していました。
3度目のやり直しを告げられた時、北川さんはこう言いました。「係長が理想としている仕上がりを勉強したいので、実際にお手本を見せていただけますか?」
明かされた真実
コピー機への移動を促す北川さん、固まる係長。実は、係長が知っているのは単純なコピーの仕方のみ。拡大縮小も、両面印刷のやり方も知らなかったのです。
(だから、自分でコピーしに行かなかったのか!)と妙に納得しました。呆れたというか、逆にすごいというか、何とも言えない気持ちです。
結果オーライ
そばで一部始終を見ていた部長(50代男性)は、すぐさまコピー機の使い方をマスターするように指示。レクチャー役の白羽の矢は、私に立ちました。顔をひきつらせながら、作業を教わっていた係長。上司に指導をするなんて、非常にやりづらかったです……。
それ以来、係長によるコピー雑用の回数は激減。あの時の屈辱的な表情は、しばらく忘れられそうもありません。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

