学歴否定が口癖の同僚
私の同僚、坂田さん(仮名・30代男性)は、やたらと高学歴を否定する人物でした。本人は高校までは進学校に通い、周囲には有名大学へ進学した友人も多かったものの、自身は専門学校で服飾を学んだそうです。
本人はその進路に誇りを持っていると言いますが、高学歴の話題になると空気が変わり、否定はいつも即座で一方的でした。
人格にすり替えられる学歴
「勉強ばかりしてきた人って、人間としての深みがないよな」というのが坂田さんの口癖でした。学歴をそのまま人格評価に結びつける決めつけです。
厄介なのは、私と直属の上司2人ともが慶應大学出身だと知った上で、その発言を繰り返していたこと。上司がいない場では、「学歴ない人のほうが面白くて優秀だよね」と言い切ることもありました。
静かに返された一言
ある日、会議でAIブームの話題になった際も、坂田さんは「これからはAIの時代だし、学歴なんていらなくなる」と断言します。さらに「小・中・高校と12年間もわざわざ教科書を覚え続ける意味ある?」と、他人の努力をまとめて否定しました。
それを聞いた上司は感情的にならずに、「シンプルに勉強が楽しくて好きだった人もいるんじゃないかな」と静かに返します。
誰かにとっての大切なもの
上司は続けて、「12年間サッカーを続けた人に、『その経験は意味ない』『サッカーなんて必要ない』と言うかな?」と問いかけました。その場は静まり返り、坂田さんも、「人が一生懸命に時間と労力を注いだものを否定することの愚かさ」に気づいた様子でした。
それ以降、坂田さんの学歴否定はなくなりました。私も、これは学歴の話ではなく価値観の話だったのだと感じ、誰かの大切なものを否定せずにいられる人でありたいと思うようになりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

