息子と二人きりで過ごす時間
私は2歳の息子を育てています。育児そのものは楽しいと感じていますし、息子と過ごす時間が嫌だと思ったことはありません。ただ、日中はほとんど息子と二人きりで過ごす毎日が続き、ふとした瞬間に孤独を感じることがあります。
公園や児童館に行けば、同じくらいの年齢の子を連れたママさんたちと会います。軽く挨拶をしたり、「何歳ですか?」と少し言葉を交わしたりすることはありますが、そこから先に踏み込むことはあまりありませんでした。
日常的に大人としてしっかり会話をする相手は、ほぼ夫だけ。そんな生活が当たり前になっていました。
少し聞いてほしかっただけなのに
ある日、ただ少し気持ちを聞いてほしくて、「育児してると、たまに孤独に感じるときがあってさ……」と夫に話しました。すると夫は、「え? ママ友とかできないの?」「公園とか児童館で友達作ればいいじゃん!」と、軽い調子で返してきました。
確かに、ママ友ができれば少し状況が変わるのかもしれません。しかし私は(そう簡単な話じゃないんだけどな……)という思いが浮かびモヤモヤしてしまいました。なにより、夫から寄り添う言葉がなかったのが寂しかったのです。
日曜日の公園で見た光景
数日後、親子3人で近所の公園へ行きました。その日は日曜日ということもあり子ども連れのパパさんも多く、普段より少しにぎやかな雰囲気でした。その様子を見て、私は冗談混じりに夫に声をかけました。「ほら、今日はパパさんたくさんいるよ!」「パパ友、作ってみたら?」
夫は周りを見渡しましたが、誰にどう声をかけたらいいのか分からない様子で、少し困ったように笑うだけでした。結局、夫は誰とも話さないまま家に帰る時間になりました。
夫がつぶやいたひとことは……?
帰り道、夫が「知らない人に話しかけるの、意外と難しいな……」とぽつりと言いました。その言葉を聞いて、数日前から胸の奥に残っていた引っかかりがほどけたように感じました。夫が口にした「ママ友作れば?」が、思っていたより簡単なことではなかったのだと実感したようです。
分かってもらえたことで、私の気持ちは少しだけ晴れました。それ以降、夫は私の話を聞くとき、前よりも「そうなんだ」と受け止める様子を見せるようになりました。息子との過ごし方は変わっていないはずなのに、これまで感じていた孤独感は和らいだように感じます。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

