特別なごちそうではないけれど、家族のことを考えて用意した、いつもの食卓での出来事です。夫の何気ないひと言に傷ついてしまった私。そこで、5歳の子どもが放った、まっすぐすぎる言葉とは……。
平日の夜、いつもの食卓で
平日の夜、仕事と家事を終えて、私は夕飯の準備をしていました。5歳の子どもがいるため、栄養や味付けを考えた、いわゆる家庭的なメニューです。特別なものではないけれど、できる範囲で気を配った献立でした。しばらくして夫も帰宅し、家族そろって食卓につきました。
夫の何気ない文句
食べ始めてすぐ、夫が料理を見ながら文句を言い出しました。「これ、俺あんまり好きじゃない」「今日、こういう気分じゃなかったんだよね」
疲れていたこともあり、私は言い返さず、黙って聞いていました。すると夫はさらに、「他に何かないの?」と続けました。その様子を、5歳の子どももしっかり聞いていました。
子どもが放った、まさかの一言
しばらくして、子どもが夫の顔を見て、無邪気な口調で聞きました。「パパ、何食べたい?」「らーめん? やきにく?」少し考えるような間を置いてから、こう続けたのです。「今日、パパの食べたいものないんやって〜。じゃあ、お外で食べておいで!」
その瞬間、食卓の空気が一気に静まり返りました。夫は言葉に詰まり、何も返せませんでした。子どもの言葉に反論するでもなく、言い訳をすることもなく、ただ静かに黙り込んでいました。大人の言葉よりも、子どもの一言の方が、ずっとまっすぐ届くこともあるのだと感じました。
静かに効いた、5歳の言葉
子どもは夫を責める様子もなく、私の方を見てこう言いました。「ママが作ったごはんは、おいしいよ」夫は気まずそうに黙り込み、もちろんそれ以上文句を言うこともなく、料理を食べ始めました。その様子を見て、私は思わずにやけてしまいました。
5歳の子どもの言葉は、正直で少しズレていて、でも不思議と核心を突いてくることも。子どもって本当に面白いな、と感じた出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2023年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

