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夫が「うちの雑煮は最高」と絶賛する自慢の味には、ある秘密がありました。義母を前に夫が放った満足げな一言に、彼女が気づいた事実とは……? 今回は、知人の早紀(仮名)が、結婚後はじめてのお正月に体験したエピソードをご紹介します。

はじめて迎えた義実家との正月

私が結婚して最初のお正月、大晦日から、夫の母と弟が私たちの家に泊まりに来ることになりました。夫は結婚前から「うちの雑煮は最高なんだ」が口癖だったので、義母から作り方を教わることになっていました。

大晦日の献立を考えていると、夫がきりたんぽ鍋をリクエスト。亡くなった義父が秋田県出身だったため、夫の家では定番料理とのこと。義母も義弟も大好物と聞き、大晦日はお鍋と年越しそばに決定。元旦は、おせちとお雑煮とお刺身……と、私は着々と準備を進めていたのです。

さすが“本物”の味

「きりたんぽ鍋は、絶対に比内地鶏じゃないとダメ」 と夫が言うので、私はわざわざデパ地下に行って比内地鶏を購入。大晦日の夜は夫が張り切って、きりたんぽ鍋を作ってくれました。

濃厚な鶏の出汁が出た鍋は確かにおいしく、家族全員であっという間に完食。はじめてきりたんぽ鍋を食べた私も、その美味しさに感動していました。

お雑煮に使う鶏肉は?

翌元日、いよいよ義母と一緒にお雑煮を作ることに。私が材料を冷蔵庫から取り出して並べていると、義母の「えっ? これでお雑煮を作るの?」と、驚いたような声。お雑煮用にスーパーで買っておいた鶏もも肉を見て、怪訝な顔をしています。

私は理由が分からず、「はい」と答えると、義母は一瞬間を置いて、「あら、そうなの」とだけ返し、調理を始めました。義母のお雑煮は、鶏肉と里芋と小松菜のシンプルな関東風のお雑煮でした。

出来立てのお雑煮を囲み、一口食べた夫がこう言ったのです。「やっぱり、うちの雑煮は最高だな。比内地鶏の出汁がいいんだよな」その一言で、鶏肉を見た時の義母の言葉の意味がようやくわかりました。

味覚よりも強かったもの

使っていたのは比内地鶏ではなく普通の鶏肉ですが、夫はお雑煮も比内地鶏と思い込んでいたのです。「本当においしいね。お義母さんに教えてもらったから、これからは時々作ってあげるね」
と夫に言うと、「週1でもいいよ!」と、ご機嫌な様子。義母は少しばつの悪そうな顔で、黙々と食べていました。

結婚して最初のお正月に知ったのは、これから夫には、比内地鶏と言って普通の鶏肉を出してもわからないだろうということと、味覚より思い込みのほうが人の舌を支配するということでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2021年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

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