義実家への年末帰省
私は、夫と2歳の娘の3人暮らし。保育園に落選し続け職場復帰を断念。夫の収入だけで節約生活中でした。
夫の母は、長野で一人暮らしをしており、年末年始は夫の弟家族たちと義実家に集まるのが恒例行事。今年は、私たちは夫の仕事の都合で元旦から1泊のみ。一方、義弟家族は「男の子3人がスキーを楽しみにしているから」と、大晦日から1週間滞在すると聞いていました。
私たちは、なるべく義母に負担をかけないようにと、奮発して購入したカニやお肉を持参し、元旦は家族皆でワイワイ楽しく過ごして帰ってきました。
帰省後に届いた「援助依頼」
お正月が明けてまもなく、義母から夫に電話が入りました。義弟一家の滞在費がかさんだので、少し援助してほしいとのこと。「弟家族には子どもが3人もいて大変だろうから、とても請求できない」と言うのです。
私たちは1泊だけで、しかも食材も沢山持ち込んだのに、さらに援助? 正直、私は納得いかない気持ちでいっぱいでしたが、夫は「母さんも困っているだろうから」と言い、迷わず10万円を送金してしまったのです。
SNSで知った「まさかの使い道」
数日後、私は義弟の妻のSNSを偶然見つけてしまいました。そこには『滞在費0円なうえに、お義母さんが温泉旅行に連れて行ってくれました! スキー & 温泉、最高のお正月休み!!』と書かれ、旅館の豪華な食事の写真が並んでいました。義母は義弟一家を温泉旅行に招待していたのです。
援助の裏の事実を知ると、夫の表情はみるみる硬くなりました。
頼りにされた長男の「線引き」
夫は激怒し、義母と義弟に電話をかけました。「勝手に遊びまくったツケをこっちに回すな! なんで温泉旅館の費用まで面倒みなくちゃいけないんだ。こっちだって楽じゃないのに無理して送ったんだからな」
普段おとなしい夫が、珍しくはっきり言いました。義母は「なんで知ってるの?」と不思議がりながらも、夫の話を黙って聞いていたそうです。義弟は、母が兄に援助を求めていたことを知らなかったそうで、「これからは甘えすぎないようにする」と反省したとのこと。
楽しいはずの帰省は後味の悪いものになりましたが、夫がモヤモヤで終わらせなかったことで、私の気持ちは少し晴れました。親しき仲にも礼儀あり。適度な距離感こそが、家族を守る術だと私は痛感したのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Sachiko.G
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

