尊敬していたはずの友達に、違和感
しおりちゃんには娘がいて、私の娘と同い年でした。周りは男の子のママが多く、自然と私たちは一緒に遊ぶことが増えました。年上のしおりちゃんは色んなことを知っていて、頼りになる存在として尊敬もしていました。しかし、ある時から会話の端々に「ん?」と思う瞬間が増えていきました。
私の夫がセダンに乗っているのを知りながら「私セダンの車って無理なんだよねー、なんかダサくない?」と言われたり、娘の夜泣きに悩んでいた時期には「うちの子は勝手に寝てくれるから寝かしつけとかしたことないわ~。夜中に何回も泣くのとか最悪だね」と苦笑いしながら言われたり。気にしすぎだと思おうとしても、どこか胸に引っかかりが残りました。
他のママ友の話
私にも別のママ友ができ、関わりが広がると、しおりちゃんの言動を「マウント取り」だと感じている人が他にもいると知っていったのです。
そんなある日、共通のママ友のかなちゃん(仮名)から「実は話したいことがあって……」と切り出されました。話を聞くと、かなちゃんも、しおりちゃんから何度もマウントを取られてきつくなっていたのだそうです。
きっかけは、しおりちゃんの旦那さんが「うちの子は可愛げがないけど、かなちゃんの娘ちゃんは愛嬌があって可愛い」と褒めたこと。その日から、習い事の帰りに毎回のように「今日は全然できてなかったね」「また先生に怒られてたよ」と少し笑いながらと娘さんを下げるようなことを言われたり、さらにその影響か、しおりちゃんの娘も意地悪をしてくるようになったのだと。
かなちゃんが語った理由
私もずっとモヤモヤしていたことを打ち明けました。すると、かなちゃんが静かに話してくれたのです。
「しおりちゃんの旦那さん、かなり亭主関白で俺様タイプなの。でも◯◯ちゃん(私)の旦那さんって、すごく優しくて大切にしてくれるタイプでしょ? しおりちゃん、それを見て『ああいうのキモい(笑)』って私に言ってきたの。でもね、多分、◯◯ちゃんのこと羨ましくて、下げるような発言をしてるんじゃないかな」
かなちゃんの言葉を聞いて、私は「そういう見方もあるのかもしれない」と思いました。もちろん真実はわかりませんし、本人にしかわからないことです。でも、そう考えると今までの言動の理由が少しだけ理解できる部分もありました。
マウントを手放せなかった代償
子どもも成長し、ママ友付き合いの期間も長くなってきた頃。かつては周りから慕われていたしおりちゃんの周りに、当時のママ友はほとんど残っていませんでした。
しおりちゃんは、ずっと変わらず、誰かを下げることで自分を保とうとしていたのかもしれません。私はただ、彼女がもう少し誰かに心を開けていたら違う未来になっていたのかなと、少し切ない気持ちになりました。
【体験者:20代・接客業、回答時期:2018年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

