ドライブが好きな友人
高校を卒業して免許を取った友人のトモヤ(仮名)は、休日になると仲間を連れてドライブへ行くのがお決まり。僕もよく後部座席に乗せてもらっていました。運転が苦手な僕とは違い、トモヤは運転が好きでいつも楽しそうでした。
断り切れなかった行き先
ある日、「この近くに、全国的に有名な心霊スポットのトンネルがあるから行ってみよう」とトモヤが急に言い出したのです。時間は夜の8時。正直、僕は行きたくありませんでした。
実は母方の実家には視える人が多く、僕自身は視えないものの、小さい頃から「心霊スポットには近づかない方がいいよ」と言われて育ったから……。けれど友人たちはノリノリ。結局断れず、仕方なくついていくことにしたのです。
何も起きず安堵した帰り道
向かった先は山の中のトンネル。テレビやYouTubeでも取り上げられたことのある場所でした。僕は車の中から外を眺めていたけれど、不気味さはあっても、特に何か起こるわけでもありませんでした。
「何もなくてよかった……」心の中でホッとしながら帰宅したのですが、家に入った瞬間、高校生の弟がこちらを見て一言。「兄貴、心霊スポット行っただろ?」思わず固まりました。「なんでわかった?」と聞くと、弟は眉をひそめ「何となく……」とだけ答えたのです。
同じ場所へ通い続ける友人
それからドライブに誘われるたび、僕は行き先を聞くようになりました。すると不思議なほど、トモヤは毎回こう言います。「またあのトンネル行ってみよう」と。あの日だけのノリではなかったらしく、その異様なこだわりが気になって母に相談しました。
「良くないと思うよ。呼ばれてるかもしれないね。あなたから注意してあげなさい」その助言を聞き、僕は次に会ったら話そうと思っていたのですが……。
突然の連絡
数日後、友人から突然連絡が入りました。「昨日の夜、トモヤが事故った」幸い命に別状はなかったものの、車は廃車。どうやら、仕事終わりにたった1人、わざわざあの心霊スポットへ向かっている途中だったというのです。
そのことを母と弟に伝えると、弟は深刻な顔で言いました。「あの日さ、胸騒ぎがして、兄貴が帰ってきた時に外を見たんだ。……トモヤ君の車の屋根、黒いモヤみたいなのが乗ってたのが見えた」
事故と黒い影の正体
その後、退院したトモヤに会うと、「交差点で急に前が真っ黒になったんだよ。フロントガラス全部が黒いもので覆われたみたいだった」と呟いたのです。遊び半分で行った場所から、気づかぬうちに何かを連れてきたのかもしれません。
全国的に有名な心霊スポットには、それ相応の理由があります。安易な好奇心は、時に取り返しのつかない事態を呼び込み、次第にあちらの世界に引きずり込まれてしまうことだってあるのだと痛感した出来事でした。
【体験者:20代・男性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

