大人になるにつれ、計算高くなってしまうもの。例えばバレンタインのギフト選びはホワイトデーのお返しも考えた上で選ぶ、という経験がある方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、私が働く脱毛サロンにご来店された、とても純粋な気持ちをお持ちのお客様のお話です。
中学生のご来店
私は脱毛サロンで働いています。ある日の午後、予約のない中学生のお客様が一人で来店されました。いつもはお母様と一緒にいらっしゃる方だったので、「何か忘れ物でしょうか?」とお声をかけてみると、少し照れたように「もうすぐ母の日なので、母にサプライズしたくて……母の欲しいもの、知りませんか?」と尋ねられます。
私は、お母様が肩こりに悩まれていることを思い出し、そのことをお伝えしました。すると、「ありがとうございます」と笑顔で帰っていかれました。その後ろ姿が、なんとも楽しげで、そして頼もしく映ったのを覚えています。
嬉しそうな笑顔
数日後、お母様の方がご来店された際、「母の日に娘と主人からマッサージガンをもらったんです」と話してくださいました。肩こりが楽になったことももちろんですが、それ以上に、娘さんが自分のことを考えてくれていたことが何より嬉しかったようです。その話を聞きながら、あの日の娘さんの笑顔がふと浮かびました。
今度は母から娘へ
また別の日、お母様から「今度、娘の高校入学祝いにサプライズしたいんだけど、娘の興味あるもの何か知ってるかしら?」と相談を受けました。私は、娘さんが好きなアーティストの話をしていたことを思い出し、その名前をお伝えすると、お母様は嬉しそうに頷いて帰っていかれました。
後日、娘さんから「母とライブに行ったんです」と聞いたとき、親子の間に流れる優しい時間が目に浮かぶようでした。
絶妙な距離感の空間
お互いにサプライズを計画し合う、そんな親子の姿に、私は何度も心を動かされました。純粋に相手のことを思いやる気持ちが自然に伝わってきて、その優しさが私の中にも静かに広がっていくように感じます。
そして同時に、脱毛サロンのスタッフは相談相手として最適な、程よい距離関係なのだと改めて実感しました。施術の時間だけでなく、日常のちょっとした会話の中に、幸せの小さなヒントが隠れているのかもしれません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

