夜のオンライン勉強会
私は本業のドラッグストアの仕事と並行して、いくつかの在宅副業をしています。そのひとつに、定期的なzoom勉強会がありました。普段は平日の日中に行われますが、その日はみんな都合がつかず、初めて夜に開催されることになりました。
子ども達の声が入ってはいけないと思い、静かな場所を求めて二階の部屋で参加することに。パソコンを立ち上げ、いつものようにログイン。数人の参加者の顔が並び、画面越しの勉強会が始まりました。
気になる映像の乱れ
参加者は全員、顔出しで参加。いつもと違う時間帯のせいか、どこか空気が重く感じられました。講師の話を聞きながらメモを取っていると、ひとりだけ映像が何度も乱れる人がいます。Aさんという男性です。画面にノイズが走ったり、ピントがぼやけたり。最初は通信環境の問題だと思っていました。けれど、そのうちAさんの背後で何かが動いたように見えたのです。背後には白い壁しかないのに、黒い影が横切った気がしました。
「ひとり暮らしなんで」
勉強会も中盤に差し掛かり、小休憩。雑談の流れで、Aさんが笑いながらこう言いました。「いや~、ひとり暮らしなんで、つい外食ばっかりで」その瞬間、背後をふわりと黒いモヤのような影が通り過ぎたのが見えました。Aさんはひとり暮らし。家族の影でも照明の反射でもない。私は、背筋がスッと冷たくなりました。
しかもその夜は、なぜか話の流れで“怖い話”が続出。するとAさんが「そういえば、先週友達と心霊スポットに行ったんですよ! それからちょっと体が重い気がして~。あはは」と笑いました。私は画面を見つめながら、心の中で思いました。(それ、連れて帰ってきてるよ……もし次も見えたらお祓い勧めよう)と。
影が消えた日
次の勉強会のとき、Aさんは冒頭でこう話しました。「この前、心霊スポットの話をしたじゃないですか? 友達に視える人がいて、やっぱり憑いてたみたいで。だからお祓い行ってきました!」Aさんの声はどこかスッキリしていて、前回のような映像の乱れもありませんでした。もちろん、あの黒い影が見えることもなかったのです。
目に見えない世界との距離感
夜のzoom画面に映り込んだ影。あれが何だったのかは分かりません。けれど、あの不気味な雰囲気は今でも思い出せます。人は、疲れていたり心が弱っていたりすると、無意識に“何か”を引き寄せてしまうのかもしれません。そして、無自覚な人にもついてくるのです。違和感を覚えたときは、誰かに相談することが大切。それが、目に見えない世界との正しい距離感だと感じた出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

