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お客様対応では、たった一言が大きなトラブルに発展することがあります。どんなに丁寧に接しても、理不尽な怒りをぶつけてくる人はいるものです。今回は、筆者の同僚が巻き込まれたクレームのエピソードを紹介します。

気をつけるべき常連客

私が働くドラッグストアには、スタッフの間で「要注意人物」とされている女性客がいます。一見おとなしそうですが、気に入らないことがあると態度が急変。暴言を吐きながら相手を徹底的に追い詰めるタイプです。

これまでにも、何人ものスタッフが泣かされてきました。そんな中、昨年入ったパートの増田さん(仮名)は、若くて明るく、接客も丁寧。お客様からの評判も良く、私たち年上組にとっては娘のような存在です。もちろん、彼女にも「あの女性客には気をつけてね」と事前に伝えてありました。

チャージミス疑惑のやり取り

ある日、その女性客が来店。よりによって増田さんのレジに並びます。私は両替のため隣のレジにいたので、やり取りの一部始終を目にしていました。女性は数点の商品を購入し、「お金はカードにチャージして」と言いました。増田さんが確認のため「全額チャージでよろしいですか?」と聞くと、「はい」との返事。

ところが会計が終わっても、女性はその場を離れません。「1000円だけチャージだったんだけど?」と不満げな声。増田さんは落ち着いた様子で、「全額でよろしいか確認のうえ、チャージいたしました」と説明しましたが、女性は「そんなの聞いてない!」と語気を強めました。

理不尽な怒りと、冷静な対応

その様子を見て、私はすぐにフォローに入りました。「お客様、申し訳ございません。私も横で拝見しておりましたが、増田は確認を取ってから処理しておりました。ご希望であれば返金も可能ですが……」と伝えると、女性は「じゃあさっさと返して」と冷たく言い放ちます。

返金処理を終えると、「確認不足で悪かったわね!」と皮肉交じりの一言を残し、レジを後に。その直後、増田さんが小さな声で「私、ちゃんと確認したんですけどね……」と呟きました。「うん、分かってる。私も見てたよ。でもね、そういうのは店内では言わないようにね」と私は優しく注意しました。

一言が生んだ波紋

数分後、店の電話が鳴りました。受話器の向こうから聞こえてきたのは、先ほどの女性の声。「さっきの増田って店員! “確認したのに”って文句言ってたでしょ! 聞こえたんだからね!」と怒鳴ります。

私はなだめようと必死に対応したのですが、最後に女性は「その増田ってやつの家なんて、すぐ特定できるんだからな! 覚えてろよ!」と捨て台詞を残して電話を切りました。

明らかな脅迫発言。私はすぐに店長に連絡し、状況を説明。増田さんには数日間の特別休暇を与え、警察にも相談しました。後日、女性には出入り禁止の措置が取られたのです。

理不尽に屈しない勇気

どんなに誠実に接しても、理不尽な人は存在します。大切なのは、怒りに巻き込まれず、冷静に判断することだと改めて感じました。そして、だれかが理不尽な攻撃を受けたとき、周囲がしっかり守る姿勢を見せること。それが結果的に、職場全体の安心と信頼につながるのだと思います。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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