飼っているペットをニックネームで呼ぶことはありませんか? 愛情を込めて呼ぶニックネームは、本来の名前とまったく違うものになることも。今回は友人から聞いた、ちょっぴり変わったニックネームを持つ猫ちゃんのお話です。
ドジだけど憎めない愛猫
毎年、年末年始になると、私は母の家に親族と集まります。母は長い間一人暮らしですが、家にはもう一匹の家族がいます。名前はあるのですが、孫たちはその猫を「ドッジボール」と呼び始めました。
理由は単純で、ちょっとドジだから。窓ガラスにぶつかったり、ジャンプの着地に失敗したりと、見ていて心配になるほどの天然ぶりです。でもその姿がなんとも愛らしく、気づけば家族みんなが笑いながら「ドッジボール〜」と呼んでいました。
大晦日のある日
ある年の大晦日、ドッジボールがタンスと壁の隙間にお気に入りのおもちゃを落としてしまいました。何度も前足で取ろうとする姿が健気で、「ほんとにドジね〜」と笑いながらも、放っておくわけにはいきません。ちょうど親族が集まっていたので、男手を借りてタンスを動かしてもらい、無事におもちゃを回収しました。
そのとき、畳の色が他と違っていることに気づき、ついでにタンスの位置も少し変えてもらうことに。ちょっとした模様替えで、母も気分転換になるわ、と嬉しそうでした。
翌日の地震
翌日、大きな地震が起こりました。幸いにも家族に怪我はありませんでしたが、昨日移動したばかりのタンスが倒れていたのです。もしあのとき、タンスを動かしていなかったら――倒れた位置は、まさに母のベッドの上でした。考えるだけで背筋が寒くなります。
ドッジボールがおもちゃを隙間に落としていなければ、模様替えをしていなかったはず。ドッジボールの“ドジ”が、結果的に母を守ってくれたのです。
ドジじゃないドッジボール
“ドッジボール”というニックネームは、今では家族の中でちょっと特別な響きを持つようになりました。ドジな猫だと思っていたけれど、あの子がいなければ母は危険な目に遭っていたかもしれない。そう思うと、あの天然なドジっぷりも、なんだか誇らしく感じます。
今では「ドジだけど、命の恩猫」と家族から感謝される存在に。ニックネームの裏には、愛情だけでなく感謝もたっぷり詰まっているのです。今日もドッジボールは可愛いドジをしながら、母の遊び相手になってくれています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

