頼りになる人気者の同僚
営業部署にいたころ、隣のグループに先輩の富岡さん(仮名・30歳)が仙台から異動して来ました。とても人当たりの良い彼は、すぐに部署全体の人気者に。
話してみるとまさに「知徳兼備」という言葉がぴったりの人で、優しくて頭の回転も早く、ユーモアもありました。誰に対しても分け隔てなく接する姿勢に、みんなが自然と惹かれていきました。
不思議な昇格事情
ただ不思議なことに、彼の同期たちが次々と役職に就く中で、富岡さんだけが一段階下の役職のままでした。仕事ぶりや人柄を見れば、出世しない理由などまったく見当たりません。周囲が「なんでだろう」と首をかしげる中、本人はそんなことを気にする素振りも見せませんでした。その飾らない姿勢がまた、彼の魅力を引き立てていました。
真の理由と誠実な人柄
ある日、仕事で一緒に行動していた時、富岡さんがぽつりと昇格できなかった理由を話してくれました。過去に自分が教育係をしていた後輩のミスをかばって責任を取ったことで、昇格が見送られたとのことでした。それでも彼は「自分が解決できてよかった」とだけ言い、後輩を責めることは一切ありません。
その言葉に私は心の底から驚き、そして感動しました。損得ではなく、人としての正しさを貫く姿勢に、「本当にできた人だな」と感じました。
正直者が報われた瞬間
その後も富岡さんは、年齢も立場もバラバラなチームをまとめながら、誠実に仕事を続けていました。どんなに忙しくても他人のせいにせず、成果については必ず「チーム全員のおかげ」と語ります。そんな姿を見て、みんなが自然とついていきました。
そして3年後、ついに富岡さんは昇格。しかも同期たちを追い越し、さらに上の役職へと抜擢されたのです。その知らせが届いた瞬間、チーム中が歓声と拍手に包まれ、涙ぐむ人までいました。人の昇進であんなに嬉しかったのは初めてです。
正直者が正当に報われる光景に、働くことの意味を改めて感じた出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

