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共働き夫婦にとって、家事と仕事のバランスは永遠のテーマかもしれません。残業して帰っても、不機嫌な夫のために慌てて夕食の支度をしなければならない違和感に耐えかねた知人の夫婦関係が変わったきっかけをご紹介します。

子育てを見据えた転職

私たち夫婦は、結婚2年目の共働き夫婦です。将来、子どもが生まれることも見据え、結婚を機に残業の多かった前職を退職。ワークライフバランスを重視し、自宅から20分で通える会社に転職しました。

しかし、もともと仕事が好きな私は、新しい職場でもすぐになじむことができ、次第に任される仕事が増え、月末月初には残業が続くことが多くなっていったのです。

揺らぎ始めた日常のバランス

夫の仕事は時期によって波があり、繁忙期は深夜の帰宅が続く一方、落ち着けば毎日定時で帰ってくることもありました。外食を好まない夫のために、私はいつも帰宅後すぐに食事ができるよう準備を整え、炊事以外の家事もほとんど一人でこなしていたのです。

私の仕事が忙しくなると、夫が先に帰宅する日が続くようになっていきました。そんな時、夫はどこか不機嫌そうで、帰るとすぐ私は「遅くなってごめんね。すぐに夕食の支度をするね」と慌てて台所に立ちますが、それでも夫の表情は晴れません。 私の仕事の評価が上がるにつれ、家庭のバランスは揺らいでいきました。

「私、なんで謝ってるんだろう?」

ある夜、私はふと考え込んでしまいました。 「彼が遅く帰ったときは“お疲れさま”って伝えてるのに、私はいつも“ごめんね”って言ってるのはなぜだろう?」

自分も正社員として働き、生活費も折半している。家事もほとんど自分が担っている。それなのに、仕事で遅くなると謝らなければならない――その違和感が、じわじわと心の奥で膨らんでいきました。そしてある夜、夫がぽつりと言いました。「もう少し、仕事をセーブできない?」

私はきっぱりと、「働いている以上、責任は男も女も変わらないのよ。もし私が残業しない働き方を選ぶならそれでも良いけど、収入は減るわよ……その分あなたが支えてくれる?」その言葉に、夫は黙り込んでしまいました。

「ありがとう」が言える関係へ

それから少しずつ、夫の態度が変わりました。「今日は遅くなる?」と気遣ってくれるようになり、私が残業の日は、スーパーでお惣菜を買ったり、簡単な料理を作ったりするようになったのです。

私も、これまでのように「ごめんね」ではなく、「ありがとう」と自然に言えるようになりました。仕事と家庭ともに充実感を感じるようになり、「本音でぶつかってよかった」と心から思えた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2020年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

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