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私が調剤薬局で働いていた頃のこと。新入社員を指導する中で、“伝えることの難しさ”に直面しました。そんなとき、周囲に「パワハラ」と言われてしまい……。傷ついていた私を救ってくれたのは、ある上司の言葉でした。

泣いてしまう後輩との日々

新しく入った後輩の田中さん(仮名)は、年も近く、最初は話しやすい印象でした。これから一緒に頑張っていけそうだなと思っていたのですが、いざ仕事を教えるようになると、少しずつ難しさを感じるようになりました。

ちょっとしたミスを指摘するだけで、田中さんはすぐに涙をこぼしてしまうのです。強い言い方はしていなく、むしろ「次から気をつけてくれれば大丈夫だよ」となるべく穏やかに伝えていたつもりでした。それでも泣かせてしまうたびに、「どうしたら『大丈夫』と伝わるだろう」と悩む日々が続きました。

軽い冗談が心に刺さった瞬間

ある日も、確認漏れがあったことを伝えると、田中さんは涙ぐんでしまいました。周囲の空気が少し気まずくなったそのとき、同僚の男性が冗談めかして「パワハラや〜(笑)」と口にしたのです。

笑いを取るつもりだったのかもしれませんが、その言葉が胸に深く刺さりました。指導の仕方にずっと悩んでいた私は、「やっぱり私が悪いのかな」と責められたような気持ちになり、何も言い返せなかったのです。仕事への自信が揺らいでしまい、指導係も辞めたくなってしまいました。

上司の言葉に救われて

数日後、上司が「この前のこと、気にしてる?」と声をかけてくれました。私は思わず涙が出そうになりながら「指導の方法が分からなくなりました」と正直に話しました。すると上司は「あなたの伝え方は丁寧だったし、田中さんが泣いたのはあなたのせいじゃない。“パワハラ”なんて軽口を言うほうがよくなかった」と言ってくれたのです。

その言葉に、張りつめていた気持ちが緩むのを感じました。後から聞いた話では、上司がその同僚男性に注意してくれていたそうです。

“教える”だけじゃない大切なこと

その出来事をきっかけに、私は「泣かせないように」ではなく、「田中さんが安心して働けるように」と意識するようになりました。少しずつ環境にも慣れた田中さんは、次第に泣かなくなり、ミスをしても前向きに受け止められるようになっていきました。

“教える”というのは、ただ仕事を伝えるだけではなく、相手の心をほぐしてあげることでもあるのだと実感しました。そして、自分をちゃんと見てくれている上司の存在が、私にとって何よりの支えになりました。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2022年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

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