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卒園式や発表会など、子どもの晴れ舞台では「見た目」も大切ですが、同じくらい「安全」も大事。今回は筆者本人が体験した、卒園式でのエピソードです。開口一番に息子の袴の丈を指摘してきたママにもやもやしていたのですが……。

息子の希望は「袴で!」

末っ子の四男・カイ(仮名)が、いよいよ保育園を卒園する日を迎えました。「ぼく、袴がいい!」と目を輝かせるカイに押し切られる形で袴をレンタル。

私は自分で着物を着られるので、袴の着付けも問題ありません。ただ、カイが記念品授与の代表を務めることになっていたため、裾を踏まないようにほんの少し短めに着付けました。何より安全第一。晴れの舞台で転ぶわけにはいきません。

大勢の前で「ちょっと短くない?」

保育園に着くと、袴姿の子ども達がずらり。会場は華やかで、どの子も嬉しそうにはしゃいでいました。そんな中、背後から響いた甲高い声。「ちょっとカイ君ママ! 袴、短すぎじゃない?」声の主はベテランママの真奈美さん(仮名)。いつも何かと張り合ってくるタイプで、悪気はないんでしょうけど、いちいちトゲがあるのです。

「登壇するときに裾を踏むと危ないから、あえて短めにしてるんですよ」と答えると、彼女はにやり。「ふ~ん、そうなんだ。でも、写真撮るとき、ちょっとカッコ悪いんじゃない? せっかくの晴れ舞台なのに可哀想だよ~」さらに続けて、「まぁでも。動きやすさ重視っていうのも、カイ君ママらしいけどね」と、笑いながら言いました。

(らしいってどういう意味よ!)と心の中でツッコミしつつ、笑顔でスルー。どうやら真奈美さん、何人かの子の着付けもしていたらしく、周りのママたちに自慢げに話していました。

式の最中、まさかの事態が

卒園式が始まり、記念品授与の時間に。カイは代表として登壇しました。スッと立ち上がり、裾を踏むこともなく堂々と歩く姿に、思わず胸が熱くなりました。

「やっぱり短めにしてよかった」と安心したその瞬間。次に登壇したカナちゃん(仮名)が段差でつまずき、派手に転倒! 裾を踏んでしまったようです。先生は慌てて泣きそうなカナちゃんを抱き上げました。ケガはないようですが明らかに会場には動揺の色が広がっています。

そして視線の先で、真奈美さんが小さく顔をしかめていました。カナちゃんの着付けをしたのは彼女だったのです。

短めは正解だった

式が終わり、帰り支度をしていると真奈美さんが近づいてきました。「いや~カイ君、カッコよかったね~。丈、短めの方が動きやすかったかもね~」声のトーンはいつもより控えめ。「そうですね。安全に動けたみたいでホッとしました」と微笑むと、「そうだね。子どもって動くもんね……」と、彼女はどこか遠い目をしていました。

見た目よりも大切なもの

外に出る頃には、時間が経って袴が少し緩み、ちょうどいい丈に。晴れ姿のカイは、今までで一番堂々とした背中を見せてくれました。

卒園式は、一生に一度の晴れ舞台。見た目の美しさも大切ですが、「子どもの安全」を第一に判断をして、本当に良かったと思います。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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