~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
みなさんは110番通報って経験したことがありますか? 私は数年前に一度だけ電話をかけたことがあります。ある日、職場に女性が「警察呼んで!」と叫びながら駆け込んできたのですが、予想外の展開に!?

事件発生

それは、ある日の平和な昼下がりの出来事でした。中年の女性が、ただならぬ様子で調剤薬局に飛び込んできました。血相を変えてこう言います。

「警察呼んで! あそこの人、車に飛び込もうとしてる!」

異常な光景

慌てて外の様子を確かめると、そこにいたのは年配の男性。道路の真ん中で腕を組み、「危ない!」と叫びたくなるような場所にいます。

現場は田舎の片側一車線道路。男性は、車がギリギリまで近づいてきても、その場を離れようとしません。
運転手が男性に気付いてスピードをゆるめると、スッと脇道に逸れ、通り過ぎると再び同じ場所に仁王立ちをしていて、車に轢かれようとしている様子でした。

動揺しつつ、110番

「早く警察を呼んで! あの人死んじゃう!」
女性にせっつかれながら、私は震える手で110番通報をしました。

「はい〇〇です。事件ですか? 事故ですか?」電話口の相手に尋ねられ、「道路の真ん中で男性が仁王立ちしてて……」車に轢かれようとしています、と続けようとしたとき。ふと外を見て、私は言葉を失ってしまいました。

まさかの結末

男性が立っていた場所に停まっているのは、市営バス。
そのバスにひょいっと乗り込んでいく、例の男性。そう、彼は決して車に轢かれようととしていたわけでなく、ただバスを待っていただけだったのです。
私と中年女性は目を合わせてポカン。

「もしもし? 大丈夫ですか?」電話先の警察が切迫した声で聞いてきます。
「すみません、解決しました。何もありませんでした……」

その後、警察に状況を説明して平謝りするばかり。顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
最初に飛び込んできた女性は、「いやー何もなくてよかったわ」と笑いながら去っていきました。

焦りは禁物

大事に至らずよかったものの、女性の焦りに感化され、とっさの出来事に慌ててしまいました。我ながら情けない話です。イレギュラーな状況でこそ、冷静な目で判断することの大切さを痛感しました。
110番通報で対応してくださった警察の方、あの時は本当にすみませんでした。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2016年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中

This article is a sponsored article by
''.