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今回は、私がショッピングモールで働いていた頃に出会った「クセ強なお客さん」のエピソードをご紹介します。いつも商品のカテゴリにかかわらず値引きにこだわるお客さんが「変化」した、驚きの瞬間とは……?

値引き交渉にこだわる女性客

私がショッピングモールの服屋さんで働いていた頃、モール内でちょっとした有名な女性のお客さんがいました。

食品売り場では値引きシールが貼られる時間帯を狙って必ず現れ、時には「ここ傷んでるんだけど!」と問題のない商品にクレームをつけて値引きを強いることも。いつも値引きを迫ってくるので、一部の従業員は「値切りおばさん」と呼んでいました。

アパレルでは本来値引き交渉はできないのですが、その女性は毎回のように「これ、安くならないの?」と強引に迫ってくるため、服屋の店員の間でも少し警戒される存在でした。

推しコラボに大興奮

そんなある日、お店で人気アイドルとコラボした新作アイテムが発売されました。販売初日にその女性も来店し、「これすっごくいい! 絶対欲しい! 安くならないの?」と大興奮。

ただ、もちろん入荷したばかりの新作が安くなるはずもありません。残っていればいずれセールになる可能性はありますが、アイドルとのコラボ商品なので在庫が残るかどうかも怪しいところ。しかも、他店舗から取り寄せることもできないルールでした。私は丁寧にその旨を伝えました。

定価か諦めるかの葛藤

普段は値引きされるまで粘るスタイルの女性。定価で買うことには抵抗があるようで、商品の前でずいぶんと悩んでいました。

「一旦帰るわ」と言って店を出る姿を見送りながら、私は「もし本当に欲しいならお早めに」とだけ伝えました。取り置きもできないので、その判断は本人次第。正直、このまま買いには来ないのではと思っていたのです。

推しの力は偉大

ところがしばらくして、そのお客さんが再び戻ってきました。そして満面の笑みで「やっぱり買う! 推しのためだもんね」とレジへ。あれほど値引きにこだわっていた人が、推しのためなら定価購入を決断するなんて……。私は少し感動してしまいました。

会計を終え「推しのグッズが手に入ってよかったですね!」と声をかけると、女性は今までで一番いい笑顔を浮かべながら帰っていきました。

推しの存在は、人の行動を変える。そう実感させられた出来事でした。

【体験者:30代・女性販売員、回答時期:2023年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

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