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その見た目の愛らしさだけでなく、映画や小説などでしばしば神秘的な存在として描かれることもある“猫”という生きもの。これは、パワハラのせいで体調を崩していた友人が体験した、ちょっと驚いてしまう猫ちゃんのお話です。

不眠に悩んだ日々からの一歩

前職のブラック企業でパワハラを受け、体調を崩して退職した私は、眠れない日々を過ごしていました。そんなある日、再就職に向けてハローワークでヘルパーの資格勉強をしていると、前に座る受講生二人の会話が耳に届きます。

二人とも保護猫を飼っているそうで、微笑ましいペット自慢に心が少し和みました。その時「このタイミングは逃せない」となぜか強く感じ、「保護猫について詳しく教えていただけませんか」と思い切って声をかけました。

偶然に導かれた出会い

受講生は「今からちょうど保護猫センターに行くから一緒にどう?」と誘ってくれ、そのまま車に同乗しました。そのセンターには、子猫から老猫までさまざまな保護猫がいます。

スタッフからは子猫を勧められましたが、私は一匹の老猫に強く惹かれ、目が離せなくなりました。それから後日、準備を整え、その老猫を正式に引き取ることにしたのです。初めての猫との暮らしに戸惑いながらも、私はアドバイスを求めて何度もセンターを訪れるようになりました。

新しい日々

ある日センターを訪れた際、センター長から「経営している老人ホームの人手が足りない」と相談されます。ちょうどヘルパー資格を取得した私は「私でよければ」と思い切って提案すると、二つ返事で採用されました。

老人ホームでの仕事は大変でしたが、職場の雰囲気は温かく、疲れて帰宅すると猫がそっと出迎えてくれます。不眠症はいつしか消え、やがて職場で現在の夫となる人にも巡り合いました。

最期の奇跡

社長でもあるセンター長から「有給も取っていいのよ」と勧められても、前職のトラウマから休暇を取れずにいました。
そんなある日、立て続けに三人の入所者さんから「大切な家族の最期を看取れなかったのが心残り」という話を聞きます。三人目は、「大事なペットの最期に立ち会えなかった」と語りました。

妙な胸騒ぎがして「明日、有給をいただけますか」と申し出ると、社長は快く了承。
その夜、老猫は苦しまず眠るように私の腕の中で息を引き取ったのです。

もしあの老猫を飼っていなければ、老人ホームで働くことも、夫と出会うこともなかったかもしれません。そして、入所者さんの言葉がなければ、その最期に立ち会えなかった可能性もあります。
まるで不思議な力に導かれるように、老猫は私に数えきれないほどの大切なものを与えてくれたのでした。

【体験者:30代・女性・会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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