子供と一緒に長い列へ
子供がまだ小さく、イヤイヤ期の真っ最中だった頃。ある日、「ポテトが食べたい!」というリクエストに応えてファーストフード店へ行きました。
ちょうどお昼時で、レジには長い行列。モバイルオーダーもない時代だったので、並ぶしかありません。
最初は機嫌よく一緒に並んでいた子供も、だんだん退屈してきて不機嫌に。レジに近づく頃にはついに泣き出し、私は周りの迷惑になってしまうと焦っていました。
注文の最中に起きた出来事
いよいよ私の番になったものの、注文して会計をしている間も子供の泣き声は止まりません。
オロオロしていると、レジの店員さんが子供の目線に合わせて声をかけてくれました。
「ねぇ、ボクはポテト好き?」突然の問いかけに、子供は泣き止んでキョトン。もう一度同じ質問をされると、こくんと小さくうなずきました。
すると店員さんはニコッとして、「よーし! じゃあ急いで用意するから、待っててよ〜!」と優しく言ってくれたのです。私はそのさり気ない優しさに涙が出そうでした。
お客さんたちの温かい一言
さらに驚いたのは、その場にいたお客さんの反応です。
私たちの前に並んでいた方が「お子さんのポテトだけでも先に出してあげて! 私の順番は気にしなくていいから」と言ってくださったのです。
店員さんが「本当に大丈夫ですか?」と確認すると、周りのお客さんたちも笑顔でうなずいてくれていました。
私は「ありがとうございます」と頭を下げながら、申し訳なさと感動で胸がいっぱいになりました。
優しさに包まれた瞬間
結局、子供のポテトだけ先に受け取らせてもらうことに。私が周囲の人たちに再度お礼を言うと、子供も恥ずかしそうに「ありがとぉ」と言っていました。
「本当は順番を守らないといけないんだけど、今日は周りのみんなが優しくしてくれたんだよ」と伝えると、子供なりにその気持ちを理解しているようでした。
当たり前ではない優しさに助けられた、忘れられない出来事でした。
【体験者:20代・主婦、回答時期:2018年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

