料理教室でのアルバイト
私は、料理教室でアルバイトをしていました。講師の補佐や材料の準備が主な仕事でしたが、社員には「新規の生徒を何人獲得できたか」といったノルマがあったようで、どこかピリピリした雰囲気が漂っていました。
中にはアルバイトに冷たく当たってくる人もいて、特に吉野さん(仮名)は口調が強く、正直ちょっと怖い存在です。
レッスン準備で起きたミス
ある日、私は翌日のレッスンで使う材料の準備を任されました。分からないことがあり、その場にいた社員に質問したのですが、忙しかったのか返事は曖昧。それでも何とか準備を済ませ、その日は帰宅することに。
翌日、私の出勤日ではなかったのですが、バイト先のグループチャットに通知が入りました。開いてみると、吉野さんからメッセージが。
「これ間違ってますけど! こんなことしたの誰ですか!? どうせ愛子さんでしょ!?」
その瞬間「どうしよう……!」と頭の中が真っ白になりました。
グループチャットで店長が登場!
私はすぐに「すみません、私の確認不足でした。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪しました。すると、店長からもメッセージが。
「愛子さん、きちんと謝ってくれてありがとう。ただ、確認や指摘は本人に直接伝えれば済む話なので、グループチャットで決めつけるような言い方は控えてください」
店長のフォローに思わず涙が出そうになるほどホッとしたのを覚えています。そのあと吉野さんからは「すみません。言いすぎてしまいました」と返信があり、後日私に会ったときは気まずそうにしていました。
学びにつながった気づき
もちろん、ミスをした私に責任があることはわかっています。だからこそ、チャットのメッセージを読んだときには申し訳なさを強く感じました。でも同時に、グループで名指しされ傷ついたのも事実です。
店長が「注意は個別に」と言ってくれたことで、私の気持ちは救われました。
この出来事を通して、人を責めるよりも、相手をどう育てるかを考えられる人でありたいと思うようになりました。あのときの経験は、今も自分の働き方や人との向き合い方につながっています。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

