保険会社に勤めていたころ、部署全体が過酷な長時間労働に苦しんでいました。ですが、そんな状況をいくら相談しても改善するつもりがなさそうな課長。そうした働き方を変えるために、先輩と私が奮闘したエピソードです。
終わりの見えない長時間労働
保険会社に勤務していた当時、私は入社3年目。とても多忙な部署に所属していました。
毎朝7時には出社し、夜23時ごろに帰宅する日々が当たり前で、他のメンバーも全員同じ生活を送っています。
そのときは、まだ働き方改革の前。残業が毎月100時間を超えていることを課長に相談しても、「自分たちでなんとかしてよ」と突き放されるばかりで、改善の兆しは見えませんでした。
労働時間の実態を明らかに
そんなある日、部署内で「さすがに残業が多すぎるので見直したい」という話が持ち上がりました。普段、勤怠管理システムには実際より短く残業時間を入力していましたが、この月だけは正直に入力し、部長に実態を知ってもらおうという取り決めがなされたのです。
体力的にも精神的にも限界を感じていた私は、この機会に部署全体で働き方が改善されることを期待していました。
たった二人だけの正直者
しかし、ふたを開けてみると、実際に正しい労働時間を入力したのは私と先輩のリサさん(仮名)だけ。他のメンバーは「残業の多さを部長に指摘されるのが嫌」という理由で、従来どおりの入力を続けていました。
その結果、私とリサさんだけが課長に呼び出され、「残業が2ヶ月連続で30時間を越えると部長面談になっちゃうよ。改善しなさい」と注意されてしまったのです。
部長への直談判と改善への道
課長や他のメンバー達に訴えても埒があかないと考えた私たちは、この仕組みを逆手にとり、あえて翌月も正確に残業時間を申請しました。
2か月連続で120時間ほどの残業を報告したため、実際に部長との面談に進み、部署の実態や課長の対応不足を直接伝えることができたのです。
その後、課長は部長から注意を受けたようで、そこでようやく残業対策ミーティングや、業務の見直しが始まりました。
時間はかかりましたが、徐々に残業が減り、部署は働きやすい環境へと変わっていきました。あきらめずに行動を起こせば働く環境は変えられると実感したエピソードです。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2016年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。