お会計ミス
私は脱毛サロンで働いています。ある日、ポイント利用でご予約いただいたお客様のお会計の際に、うっかりポイントを使わずに精算してしまい、後日払い戻しをさせていただくというミスをしてしまいました。お客様は怒っておらず、笑って許してくださいましたが、信頼を第一にする接客業において大きな反省点でした。
お客様からの電話
しばらくして、そのお客様から「過去の来店日をすべて教えてほしい」とお電話をいただきました。私はすぐに、以前の会計ミスのことが頭をよぎりました。「あの件で不信感を抱かせてしまったのかもしれない。お店の信用を失ってしまったのでは……。もう来ていただけないかもしれない」と、不安でいっぱいになり、電話口で何度も謝罪しました。
電話の理由とは
ところが、お客様は笑いながら「前回のこととは全然違うのよ」とおっしゃったのです。安心した私は思い切って「差し支えなければ理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」と尋ねてみました。すると、お客様は快く教えてくださいました。
生理不順で、いつ生理が来るかわからないため、毎回生理が終わると当日か翌日に予約をされていたこと。最近ご結婚され妊活を始め、産婦人科で「詳しい生理周期を教えてください」と言われたそう。しかしアプリなどで管理していなかったため、過去の来店履歴で生理周期を確認できれば、と電話をくださったのです。
油断大敵
その後、お客様は無事に妊娠・出産され、現在も変わらずご来店くださっています。あの時、私が電話口で慌てふためいていた姿は、今ではお客様との笑い話のひとつになっています。結果的に大事には至りませんでしたが、私にとっては「お会計は必ずダブルチェックをする」という大切な学びとなりました。接客の現場では、小さな油断が不安、信頼を失うことにつながるケースもあります。だからこそ誠実に、そして丁寧に——。そう思わせてくれた実体験です。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。