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何歳になっても、大人になっても、おばあちゃんの存在はとても温かいですよね。よく聞く“尊い”という言葉だけでは形容しきれない特別な存在のおばあちゃん。これは私がこの夏に体験したお話です。

久々の祖母の家

数年前に祖父が他界して以来、ひとり暮らしを続けている祖母。遠方に住んでいることもあり、顔を合わせられるのはお盆と年末の長期休暇だけ。
先日のお盆に久々に祖母の家に泊まることになりました。変わらぬ懐かしい匂いに包まれ、子どものころの夏休みを思い出しながら祖母と日中を過ごしました。

夜のテレビ

夜、寝る前に喉が渇いてリビングに向かうと、誰もいないはずなのにテレビがついていました。祖母の部屋をのぞいて「テレビ、消していい?」と聞くと、祖母は静かに首を振り、「お盆のときだけは、おじいさんに見せるようにしてるの。そのままでいいよ」と応えました。
祖父は生前、テレビが大好きで、祖母が消すとうたた寝をしていた祖父が「見てるよ!」と声をあげるのがお決まりでした。その記憶がふっとよみがえり、胸があたたかくなりました。言われた通り、テレビはつけたままに、寝室へ向かいました。

最新機能のはずが

祖母と過ごした数日間はあっという間に過ぎ、私は夏休みを終えて日常に戻りました。帰宅後、この出来事を姉に話すと、意外な反応が返ってきたのです。
「本当に?だってあのテレビ、人感センサーがついてるんだよ。誰もいなかったら勝手に消えるはずなのに…...」というのです。
そういえば昨年、祖母が「古いテレビの調子が悪い」とこぼしたとき、姉が最新モデルを贈っていたことを思い出しました。機械に疎い祖母がわざわざ設定を変えたとは考えにくく、テレビが壊れているわけでもありません。

テクノロジーを超えた愛

祖母の言葉が思い起こされました。おじいさんに見せている——その想いが、技術を超えてリビングに灯りを残したのでしょうか。それとも本当に、お盆の夜に祖父が帰ってきていたのかもしれません。私は全く怖いとは思えず、むしろ祖父にも祖母にも会いたくなりました。
祖母の家でともっていたテレビの光は、ただの機械ではなく、祖母と祖父をつなぐ確かな証のように私には思えた夏の夜の出来事です。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐野ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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