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調剤薬局で働いていた頃の話。職場には、周囲を和ませる「癒し系」の同僚がいました。和やかな日常の裏で、私たちはあることに気づかされることになります。今回は、患者さんの安全や職場の成長に関わる、大切な学びを得たエピソードをご紹介します。

張り詰めた沈黙

調剤薬局で働いていた頃の話。
ある日、応援で来ていた薬剤師の菅原さん(仮名)が、同僚の業務を見て突然声を上げました。
「このままだと患者さんに迷惑がかかります!」
その言葉に職場の空気が一気に張り詰め、私は思わず「少し厳しいな」と感じました。いつもの穏やかな雰囲気とは違う空気感。注意を受けたのは、清水さん(仮名)。
処方箋の入力ミスで、薬の用量をひと桁間違えてしまいました。患者さんにすぐ大きな被害は出ないものの、重大なミスであり、菅原さんにとっては絶対に見逃せないものでした。

癒し系社員の小さなミスで見えた、職場の本音と緊張感

私たちはハッと気づきました。
普段は許されていたことも、実は改善すべき課題を覆い隠していたのだと。
清水さんは、天然キャラを盾に何でも許されるタイプ。ちょっとしたミスをしても、「えへへ、やっちゃった」と笑うだけで、周りはつい「清水さんだから……」と許してしまう。
そんな清水さんが今回注意を受けたことで、私たちは改めてハッとさせられたのです。

厳しい注意が教えてくれた、本当に大切なこと

そして最初は「厳しい人だな」と思っていた菅原さんも、今回の出来事を通して、患者さんの安全を第一に考え、常にプロ意識を持って行動している人なのだと、改めて理解できました。
清水さん自身も、普段は笑ってごまかせるような小さなミスで注意を受けるという予想外の状況に、少し驚いた表情を浮かべました。
瞬間的に場の空気が張り詰めると同時に、緊張と気づきの混ざった独特の空気に変わったのです。

気づきがチームを成長させる

この出来事から学んだのは、「普段の当たり前をそのままにしないこと」。
天然キャラに癒される心地よさも大切ですが、同時に改善すべき点にはきちんと目を向けることが、患者さんの安全や職場全体の成長につながります。
厳しさと優しさの両方をバランスよく取り入れること。それが、安心して働けるチームをつくる大事な要素なのだと実感しました。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2019年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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