大忙しのランチタイム
Yちゃんが働いている飲食店は、ランチタイムになるといつも満席になる人気店。その日も例外なく、厨房もホールもフル回転で、てんやわんやの忙しさでした。
そんな中、Yちゃんも手際よく次々と出来上がるランチプレートを運んでいました。
突然女性客に引き止められ……
すると、返却口に一人の女性客がやって来て、Yちゃんを引き留めます。
「……あの、ちょっと言いにくいんだけど、お料理の中に髪の毛が入っていたの」
突然の言葉に、Yちゃんの頭の中は真っ白に。クレームを言われたと思い、周りのお客様に聞かれてしまったら、大きな声で怒鳴られたらどうしようと、一瞬で焦りが募りました。
怒られるのかと思いきや……!?
しかし、女性は続けてこう言ったのです。
「大きな声で言うと、他のお客さんも混乱させてしまうといけないから……。でもこの後もあるといけないから、一応伝えておくわね」
その表情は怒っている様子ではなく、むしろ優しい笑顔。嫌な思いをさせてしまったのに、周りに配慮して小さな声でこっそり教えてくれる姿に感動。
すぐに「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません! お代はいただきませんのでご安心ください。教えていただきありがとうございます。今後はこのようなことがないように、お店全体で共有します!」と深々と謝罪しました。
言い方を変えれば「愛のある一言」に
女性は「いいえ、ここのランチ大好きなの。また来るわね」と微笑んで帰っていきました。Yちゃんは「なんてスマートで優しい対応なんだろう!」と、一連の女性の対応に惚れ惚れ。
そして、すぐにこの件はスタッフ全員に共有され、髪の毛混入を防ぐためのオペレーション改善にもつながりました。
マイナスなことを伝えるときも、言い方一つで「愛のある一言」になるのだなと思う出来事でした。
【体験者:30代・飲食店、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。