コーヒー一杯で長居するおじさん
私が働いていたカフェには、作業着姿で毎日のようにやってくる無口なおじさんがいました。頼むのは決まってコーヒー一杯。しかもその一杯で2〜3時間はお店に滞在するので、他のスタッフたちは少し迷惑そうに「またあのおじさん長居してる……」と話していました。
親切に接することを心がけた私
そんな中でも私は特に嫌な気持ちはなく、他のお客様と同じように親切に接客をしていました。会計のときも、テーブルの片付けも、変わらず丁寧に。おじさんも特に表情を変えることはありませんでしたが、居心地よく過ごしているようには見えていました。
突然明かされたおじさんの正体とは!?
ある日、いつものように来店したおじさんが私に声をかけてきました。「いつも親切にありがとう。コーヒーも美味しいし、居心地がいいから助かっているよ。そのお礼と言ってはなんだけど……」そう言うと、おじさんは驚きの一言を口にしました。なんと、自分が経営する会社で開催する説明会で、お客さんに配るお菓子を800個注文したい、と言ってきたのです。その金額、なんと70万円! お店にとっては大口すぎる注文でした。
素朴なおじさん。実はやり手の社長さんだった
無口で素朴に見えたおじさんは、実は会社を経営している「本物のお金持ち」だったのです。スタッフ一同はおじさんの正体と大口注文にびっくり。店長は大喜び!(笑)私はそのとき改めて、どんなお客様でも態度を変えずに接客することの大切さを実感しました。
【体験者:30代・飲食店、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。