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仕事の指導って難しいですよね。これは、私が看護師時代に新人教育をしていたときの話です。担当していた新人看護師が「挨拶をしない」と先輩から指摘を受けました。理由を尋ねてみると、思いがけない本音が返ってきて……!?

新人看護師のAさん

私が看護師3年目の頃、教育担当として1年間新人看護師のフォローを任されました。「新人の成長を支える」という大切な役割を任されたことにやりがいを感じる一方で、指導する側としての責任の重さを実感し、業務を振り返りながら毎日試行錯誤していました。

担当になったAさんは物静かでおっとりした性格。自ら積極的にコミュニケーションを取るのが苦手なようでした。
そのため、配属直後から「先輩には自分から挨拶して関わりを増やすように」と伝えていたのです。

先輩のBさんからの指摘

Aさんも職場に慣れてきた8月頃のことです。先輩のBさんから「Aさんが他の先輩には挨拶をするのに、私にだけしない。どういうことなの?」と指摘を受けました。
Bさんは、主任看護師で後輩の指導に積極的なタイプです。Aさんも挨拶をする相手を選ぶような人には思えなかったため、私は驚くばかり。

「すみません、私からなぜ挨拶しないのか聞きます」と返答し、後日新人看護師Aさんに事情を聞くことにしました。

挨拶しない理由

勤務が一緒の日、私はAさんに理由を尋ねました。すると、Aさんは少し困ったような表情。そして、勇気を出すと決めたのか、こんな本音を伝えてくれたのです。

「Bさんは挨拶しても挨拶が返ってこないので、もうしなくていいかなと思っていました」

確かに、Bさんは気分にムラがあり、挨拶を返さないことがある人でした。Aさんの気持ちもわかりますが、だからといって「挨拶をしなくてもいい」としてしまえば、今後のAさんの働きやすさに影響が出る可能性があります。

返答に悩んだ結果、私は「そっか、そうだよね。でも、自分にだけ挨拶がないとBさんも気にかかると思うから、挨拶を続けてみてほしい」と伝えました。

指導する側

この出来事を通して、指導は「〜しなさい」と言うだけでは不十分だと気づきました。上司や先輩が行動で示さなければ、後輩も迷ってしまいます。

未だに私の返答が正しかったのかは自信がありません。しかし、指導する立場である自分が、看護師としても人としても手本になる必要があるんだと強く感じた出来事でした。

【体験者:20代、女性、回答時期:2022年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:saya.I
総合病院で看護師として勤務を通して、介護や看護の問題、家族の問題に直面。その経験を生かして現在は、ライターとして活動。医療や育児のテーマを得意とし、看護師時代の経験や同世代の女性に取材した内容をもとに精力的に執筆を行う。

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