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大切な人を見送ったあとの暮らしには、説明のつかない出来事が起きることがあります。悲しみの中に潜む違和感や恐怖は、時に心を大きく揺さぶるのです。今回は、筆者の友人が体験した忘れられないエピソードを紹介します。

祖母に支えられた日々

幼い頃に両親が離婚し、私は父に引き取られました。ただ、実際に私を育ててくれたのは祖母。父は気難しく、祖母も私も気を遣いながら過ごすことが多かったのです。大人になって家を出てからも、祖母の様子が気にかかっていたので頻繁に実家に足を運んでいました。

祖母の葬儀と木製の位牌

やがて祖母が亡くなったのですが、喪主である父は何もせず、私が代わりに葬儀を取り仕切りました。無事に葬儀を終え、葬儀屋から「位牌ができるまではお葬式で使った木製の位牌を仏壇に置いてください」と言われた私は、父にもそう伝えました。ところが返ってきたのは「気味が悪い」という冷たい言葉。母親である祖母の位牌をぞんざいに扱う父に、悲しみが重なりました。

夜ごと続いた異変

自宅へ戻って数日後、父から慌てた声で電話がかかってきました。「毎晩、夜中になると家の外を誰かが歩き回る音がする。玄関のドアノブをガチャガチャ回す音も聞こえるんだ」父のただならぬ様子に不安を覚えた私は、急いで実家へ駆けつけたのですが、仏壇にあるはずの木製の位牌が消えていたのです。父に尋ねると、「不気味だから物置にしまった」と悪びれもせずに答えました。その時、外の暗がりからカタン、と何かが落ちる音が響き、背筋が凍りました。

お寺からの言葉

すぐに葬儀でお世話になったお寺に相談すると、「おばあさんが家に入れず、外を歩き回っているのかもしれません。位牌はちゃんと仏壇に戻してあげてください」と告げられました。半信半疑の父を説得し、位牌を仏壇に戻したその夜から、足音もドアを揺らす音もピタリと止んだのです。

依り代としての意味

ただの木の札と思っていた位牌が、どれほど大切な意味を持つのかを思い知らされました。亡き人の心を宿す依り代であり、それをないがしろにすることは、故人を拒むことにも繋がるのかもしれません。今回の出来事を通して、形あるものを敬う気持ちこそが、残された者の心を守るのだと強く感じました。

【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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