引っ越し先で感じた違和感
再婚を機に、私は小学生の息子たちと夫と、家族4人で新しい家に引越しました。2LDKのその家は、知人の紹介で家賃も手頃。ちょっと古いけれど、それなりに広く、快適に暮らせそうな家でした。ただ、近くにお寺もあるからなのか、住み始めてしばらくしてから、空気が重いというか……言葉にしにくい違和感のようなものを感じるようになったのです。
風の強い夜に現れたもの
風が強く吹いていたある夜のこと。少し蒸し暑くて、私は寝室のドアを開けたまま眠っていました。ふと夜中に目が覚めると、体が動かず金縛りに。おそるおそる目を開けると、開いたドアの前に黒い人影のようなものが立っていたのです。その存在がただならぬ気配を放っているのがわかりました。怖くて声も出ず、目を閉じてやり過ごすしかありませんでした。
再び訪れた不穏な空気
それからしばらくは何も起こらず、私も気のせいかと思い始めていました。ところが、また風が強い夜。あの時と同じように、家全体の雰囲気がどこかおかしいのです。今回は私だけでなく、夫や子どもたちも「なんだか変だね」と口にしていました。案の定、その夜も”何か”はやってきたのです。言葉では説明できない重苦しさと恐怖を感じ、私は翌朝すぐに実家の祖母に電話しました。
祖母の言葉と風向き
「風に乗ってくるんだろ」と、祖母は笑いながら言いました。そして続けて、「風の向き、お寺の方から吹いてるんじゃないか?」と。不思議に思いながらも、それから私は風の強い夜に風向きを確認してみることにしました。すると、確かにお寺の方向から風が吹いてくるときに限って、家の中の雰囲気が不気味に変わるのです。
引っ越し前に確認しなかったことで
実は、私たちの住む家は神社とお寺のちょうど直線状に位置しており、霊道に当たっている場所でした。知人からの紹介だったので、位置関係をちゃんと確認しなかった私が悪いのですが、もしかすると、あの黒い影は、その霊道を通ってやってきたのかもしれません。
暮らす場所の雰囲気や空気の流れは、目に見えない何かと関係していることがあります。風向きひとつにも意味があるのかも知れないと気づかされた出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。