小馬鹿にした態度とセクハラ発言……Fちゃんの心をすり減らす存在
Fちゃんはとあるカフェでスタッフとして働いていました。お客様やスタッフにも恵まれ、基本的には楽しい職場。でもひとつだけ、彼女にとっての大きな悩みのタネがありました……。
それが、50代の男性社員・Yさんの存在。「若いんだからもっと動けよ」「どうせ仕事なんか適当にやっててヒマでしょ?(笑)」など、日常的に立場を利用して 小馬鹿にした発言を連発。さらに、飲み会では「彼氏いないんでしょ? 俺が相手してやるよ〜」や「Fちゃん、もっと笑って〜」など、聞くに堪えないセクハラ発言まで飛び出していました。
Fちゃんや周囲のスタッフが「それハラスメントですよ!」と注意しても、「冗談じゃん〜」と笑い飛ばし、「パワハラって言えば何でも通ると思うなよ」と開き直る始末。
あまりにも目に余る言動に店長からもYさんへ注意が入ったという話を聞きましたが、強引なYさんの強気な態度は日に日に増していったのです。
限界を超えた一言と、Fちゃんの決断
ある日、Fちゃんが腰を痛めてしまい、バックヤードで少し休憩を取っていた時のこと。
そこへYさんが現れ、「若いくせに甘えるなよ。俺なんか休んだことないぞ」と嫌味たっぷりに言い放ちました。……その瞬間、Fちゃんの中で何かがプツンと切れたのだそうです。
その日の仕事終わりに、Fちゃんは「何かあった時のために......」とこれまでYさんから受けていた数々のひどい言動を録音・メモしたものを整理しはじめました。
「もう我慢するのはやめよう」
自分を守るため、そして同じような被害を受ける人を出さないため、Fちゃんはついに行動を起こします。
静かなる反撃、そして味方たちの存在
Fちゃんは、本社のコンプライアンス窓口に匿名で通報。あわせて、信頼していた店長にも相談します。すると店長も意外な過去を明かしてくれました。
「実は俺も、昔Yさんから同じような扱いを受けてたんだ」Yさんより後に赴任してきた店長は、当初Yさんからの風当たりが強かったそう。そのため店長は、Fちゃんの話を聞いてすぐに「わかった。Fさん、今まで苦しい思いをさせてごめん。Yさんの言動は、すでに許せる領域ではないよね。俺も証言者として協力するよ」と快く引き受けてくれました。
数日後、本社から突然監査が入り、Yさんが呼び出される事態に。なんと店内の複数のスタッフが、「FちゃんがYさんからの言動に苦しんでいた」と証言してくれたのです。
実は彼らもずっとFちゃんのことを気にかけていて、「でも何もしてあげられなかった」と後悔していたのだとか。
処分と、その後の明るい変化
結果、Yさんは地方店舗への異動処分となりました。それ以降、職場の空気は驚くほど明るくなり、Fちゃん自身も「やっと自分の居場所を取り戻せた」と感じたそうです。
他のスタッフからも、「勇気を出してくれて本当にありがとう」「そして、きちんと助けてあげられなくてごめんなさい」といった言葉をかけられたとき、Fちゃんは涙が出るほど嬉しかったと話していました。
Fちゃんは最後に「黙ってるのが“我慢強さ”じゃない。ちゃんと声を上げることも、立派な強さだったんだと思う」と話していました。
【体験者:20代・販売員、回答時期:2020年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。