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接客業をしていると、マニュアル通りにはいかない場面によく出会います。お客様の様子を見ながら、どこまで踏み込んでいいのか迷うことも少なくありません。今回ご紹介するのは、私が働いていた病院内にある小さなカフェでの出来事。よく店に来てくれるおばあちゃんは、いつもレジ前で少し不安そうにしていて……。

よく店に来てくれるおばあちゃんの「ひと言」

カフェで働いていると、自然とお客さんとの距離が近くなるもの。中には毎日のように顔を出してくれる常連さんもいます。

その日も、よくカフェに来てくれるおばあちゃんがご来店。すると、レジ前でぽつりと「最近のメニューや仕組みがよくわからないのよ」とつぶやきました。

そのおばあちゃんはいつもオーダーのときに少し不安そうな表情をしていたのが印象的で、心に引っかかっていたのを思い出しました。

踏み込みすぎたら怒られるかも……という不安

実はスタッフの間でも、「あまりおすすめしすぎると、うるさがられるかも」と気を遣っていた部分がありました。

“親切”と“おせっかい”の線引きが難しくて、控えめな接客になりがち。でも本当は、ただ迷っているだけかもしれない。そんな気持ちが心のどこかにありました。

勇気を出して「私のおすすめ」を提案してみた

そこで私は、思い切って「よかったら、私がおすすめをいくつかご案内してもいいですか?」と声をかけてみました。

するとおばあちゃんは少し驚いた後、ホッとしたような笑顔で「ありがとう、あなたにお任せするわ」とひと言。その姿を見て、「やっぱり、誰かに背中を押してもらいたかったのかな」と感じました。

『選ぶこと』にも、時には寄り添いが必要

その日以来、おばあちゃんは来店すると「今日もおすすめをお願いね」と声をかけてくれることが増えました。

お店に来るお客様の中には、「自分で選ぶのが難しい時に、信頼できる誰かに任せたい」と思う方もいるのだと実感しました。相手の様子をよく観察し、そっと手を差し伸べること。接客って、やっぱりコミュニケーションなんだと、あらためて学んだ出来事でした。

【体験者:30代・飲食店、回答時期:2024年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

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