不自然な行動を繰り返す高校生カップル
私が働くドラッグストアでのこと。ほかの店舗で大量盗難が発生していて、当店にも警察から注意喚起があったことから、いつにも増して万引き犯と思しき行動に警戒していた時期がありました。その中で、スタッフ間で特に話題になっていたのが、ある高校生カップルの存在です。
2人は週に数回、夕方になると来店しては、決まって人通りの少ない通路を選び、周囲を気にしながらコソコソと行動。女子高生は大きなリュックを背負い、開いた状態のまま。男子高生はその後ろにピッタリと立ち、背中を隠すような体勢を取っているのです。
しかも店で万引きが起きた日には必ず2人が来店していたことから、私たちもこのカップルに対して警戒を強めざるを得ず、記録にも残していました。
退勤後に続いた見張りの日々
私の勤務時間は朝8時から夕方5時まで。帰宅後は家事もあるので、なるべく早く帰りたいのが本音です。しかし、このカップルが来店する時間帯は、ちょうどスタッフの人数も手薄になる頃。やむを得ず、私は退勤後に客として店内にとどまり、2人の様子を見張る役を買って出ました。その状況が何週間も続いた、ある日のことです。
私が密かに2人の様子を目で追っていたのを悟られていたのか、突然女子高生が私のほうへ来てこう言い放ったのです。
「早くどっか行けよ、ババア(笑)」
店での警戒に気付いていた上でこの態度となれば、やはり明らかに悪意があると判断。店長と相談のうえ、高校に連絡することになりました。
まさかの態度を見せたのは……
数日後、学校の先生たちが来店し、丁寧に謝罪してくれました。
「本人たちは万引きはしていないと話していますが、店内で怪しい行動をとる行為は指導対象です」と先生。さらに、「この件は保護者の方にも共有し、改めて本人を連れて謝罪に参ります。女子生徒は役場への就職も決まっているので、将来のため、きちんと指導いたします」とも。
翌日、2人の高校生は、それぞれの保護者と先生とともに来店。私たちに頭を下げてくれました。男子高生の母親は深々と頭を下げてくれましたが、女子高生の母親だけは、ずっと不満げな顔を浮かべたまま。
その後、私は仕事を終えて買い物をしていたのですが、偶然、店内で聞こえてきた女子高生と母親の会話に耳を疑いました。
親の姿勢が子どもに与える影響
「万引きしたわけでもないのに大げさすぎ。見張るよりやることあるでしょ? ホント嫌な気分。どうせ彼氏の方が面白がってやってたんでしょ?」
そう話す母親に、「うん、怪しまれてるからやめようって言ったんだけどね……」と答える女子高生。
(いやいや、あなたも楽しそうに続けてたのに……)
実際に万引きをしていたのかどうかはわからずじまいでしたが、疑われてしまう振る舞いをしていたのは事実。振る舞いを改めるよう教えるのが、周囲の大人の役割ではないでしょうか。子供を持つ親として、子供の過ちとどう向き合うべきか――改めて考えさせられる出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。