常連のお客さん
私が学生の時に勤めていた、田舎にあるイタリアンレストランは、定番メニューの他に毎月変わる季節限定メニューがありました。
そのお店に、毎月1人で来店される常連の男性のお客さんがいました。その男性はよく限定メニューを注文していました。
終了したメニューだが!?
ある日、お昼を過ぎて、他のお客さんがいない時間帯にその男性が1人で来店されました。
そして暫くしてから、加藤さんは男性に呼ばれて、オーダーを取りに行きました。
しかし男性は、「すみません、まだ注文決まっていなくて。先月の季節限定メニュー変わっちゃったんだね。アボカドと生ハムのパスタ結構気に入っていたんだよね。また食べたかったなあ。そしたら、どうしようかな〜。定番メニューから選ぶかぁ……。」と少しがっかりした後、何を注文するか悩んでいました。
それを聞いた加藤さんが、「確認して参りますので、少々お待ちください。」と男性に言い、慌てて厨房に向かいました。
要望に寄り添う加藤さん
そして加藤さんはシェフに、「今ある材料で、先月の季節限定のメニューに近い物を作ることはできますか?」と聞きました。
シェフに確認後厨房から急いで戻ってきた加藤さんは、「全く同じ料理ではないのですが、現在当店にある材料で、先月の季節限定メニューに近いパスタなら可能です。」と男性に伝えました。
予想外の出来事に男性の顔は明るくなり、何の迷いもなくその料理を注文しました。そして、「少しでも私の要望に寄り添ってくれてありがとうございます。来月のメニューも楽しみにしています! また来ますね。」と嬉しそうに笑顔で退店していきました。
大切な姿勢
お客さんが注文しようとしたメニューを「先月のメニューなので終了しています。」と最初からマニュアル通りに否定することもあると思います。
しかし、少しでもお客さんの要望に応えようと、臨機応変に考え提案をする加藤さんの姿は、お客さんだけでなくその場にいる従業員も心を動かされました!
また、お客さんに寄り添う姿は、接客業で働く身として大切な姿勢だと感じる出来事でした。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2017年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。