スーパーの忙しいレジで起きた一幕
スーパーで働いている友人のYちゃんが体験したお話です。その日は特に忙しく、レジには長い列ができていました。ピークタイムということもあり、Yちゃんは焦りながらも一生懸命レジ対応をしていたそうです。
割り込みから始まったトラブル
そんな中、一人のおじいさんが列を抜かして突然割り込んできたのです。Yちゃんは「皆さんお並びですので、ご迷惑をおかけしますが、列にお並びください」と丁寧に声をかけました。しかし、おじいさんは耳を貸すどころか、周囲の注目を集めるほどの大きな声で怒鳴り出しました。
「俺はこれしか買わないんだからいいだろう!」「年寄りを並ばせるとはなんて店だ!」「お前の名前覚えたからな!」突然の怒声にYちゃんは怯んでしまいましたが、なんとか対応しなければと勇気を振り絞って声をかけようとしました。
勇敢な女性が立ち上がる
するとその時、おじいさんの後ろに並んでいた20代くらいの女性が一歩前に出て、おじいさんに負けないくらいの大きな声でこう言ったのです。
「え!? 今なんて言ったんですか!? もう一回言ってください!」
女性はおじいさんの顔をまっすぐに見据え、気迫のこもった態度を崩しません。
まさか言い返されると思っていなかったのか、おじいさんは驚いた表情を浮かべましたが「だから! 老人を敬えって……」と言いかけます。その瞬間、女性が被せるように「なぜ!? お元気そうですけど!!」と言い放ちました。さらに近くにいたおばあさんも「みっともないわよ」と一言。
その一言が決定打となったのか、おじいさんはバツが悪そうにブツブツと悪態をつきながら、商品を買わずにその場を去っていきました。
救われたYちゃんの思い
Yちゃんは、勇敢な女性とおばあさんに感謝を述べました。自分では対応しきれなかったトラブルから救ってくれた彼女たちの姿に、Yちゃんは心から勇気づけられたそうです。
毅然とした態度が必ずしも事態を解決するわけではないものの、女性たちの振る舞いがYちゃんを救ったのも事実。この出来事をきっかけに、「お客様によっては、怯まずに対応しなければいけない場面もある」と感じ、今後の仕事に生かしたいと改めて思ったそうです。
【体験者:30代・販売員、回答時期:2023年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。